寮生はプリンセスがお好き10章8_モブ達の雑談

うちの寮長カイザーは世界で一番カッコいいし、うちの副寮長プリンセスは世界で一番可愛い。

それは東から日が昇り西に沈むくらい当たり前のことである。

そんな二人を戴く銀狼寮の寮生で幸せだと、モブース達、モブ三銃士は日々思っていた。


そして学校が終わって帰寮し夕食を摂ってその後何もない日は、モブースの部屋に集まって今日のカイザー&プリンセスについての報告会及び萌えを語る会を開催している。

昨日の主な議題はモブースの献上した香水をまとうプリンセスの素晴らしさと、香水の存在を知って即、そのプリンセスと同じ香水を欲しいと言う、カイザーのプリンセスに対する愛情についてだった。

結局カイザーはどこまでも職務に忠実で、プリンセスは神聖不可侵な存在だという学園の方針を遵守。
自分だけではなく寮生全員に配布ということになった。

モブース達にしてみれば二人だけの方が嬉しいのだが、もうこれは仕方がない。
それでも差別化がしたくて、寮生達にはクローゼットに設置する用と持ち歩く用の2種類の匂い袋で、カイザーにはいつでもつけられるように保管用に大きな物と持ち歩き用に小さな物の2種類のアトマイザーを用意した。

小さいアトマイザーの方はプリンセスの方にもカイザーと同じデザインで色違いの物を進呈したのだが、そのデザインを随分と気にいって頂けたようで、嬉しそうに自分のみならず、カイザーの手先にプッシュして顔を寄せて匂いを嗅いでいるプリンセスが大変大変愛らしかった。

エルサイアオデッセイの中でも画像に出ないだけでローランとアリアの間でこんな風なやりとりがあったに違いないと、そんな想像だけで3人で一晩盛り上がる。

そうして翌日、3人も他の寮生と同じくプリンセスと同じ香りのする制服を着て、颯爽と後期初日の学校へと赴いたのであった。


その日は担当は高2だが前代未聞、女性教師が赴任してくることになっていて、ちょっとした騒ぎになっていたが、3人には…というか、銀狼寮生には全く関係ない。
皆、よしんばどれだけの美女が来ようとも、自寮のプリンセス一筋だ。

むしろ
「うちのプリンセスと比べられたら可哀そうだよな」
などと女教師に同情するくらいである。

まあそのあたりのプリンセス崇拝は銀狼寮に限ったことではないが…。

少なくともゴリプリと揶揄される体格の良い…そして本人も何故かやる気がなさすぎるプリンセスを戴いている隣の金狼寮以外はみな、自寮のプリンセスが一番なのがシャマシューク学園の学生たちだ。
女教師に惑わされたりするはずがない。

万が一惑わされるような輩が居たとしても、同じ寮生、とりわけ寮長から注意が行くだろうし、混乱が起きるはずなどないはずだ。

そんなことを話しながら恭しくプリンセスに腕を貸しながら歩くピシッと姿勢良く後ろ姿からしてもう威厳と凛々しさに溢れている寮長と、その頼もしさあふれる寮長と中学生とは思えぬくらいに体格の良い寮長の実弟に囲まれてちょこんと愛らしい様子で歩くプリンセスを少し下がったところから拝見しつつ学校までの長くはない道のりを堪能する。


学校に着くと、中央校舎から右手の中等部の校舎へプリンセスを送っていく寮長を見送ったあとに、モブース達は高等部の校舎へ。

教室に入るともう登校している生徒が半数以上で、同学年の金狼寮の寮生達がプリンセスをイメージした芳しい香りをまとって自慢げな銀狼寮の寮生達を盛大にうらやましがっていた。

「あ~、モブ三銃士、ち~すっ!」
モブース達が席につくと、ヒラヒラと手を振ってくる金狼寮の寮長。

彼は不思議な人物で、気配もなくあまりに目立たないため目の前に居てもしばしば見落とされるモブース達3人を何故か見つけて声をかけてくるのだ。

まあ…一度豪華客船の旅で一緒に遭難し、謎の生物の居る小島でサバイバル後に生還というありえない経験をした仲だからかもしれないが…

「あ、香さん、おはようございます」
とモブースが返すと、香はチラリと大騒ぎの自寮と銀狼寮の寮生達に視線を向け、
「アレ、ギルからの配布な感じ?」
と聞いてくる。

アレというのは香水の事だろう。
献上したのは自分だが全員配布を決めたのは寮長なので、モブースは迷うことなく
「はい。
うちのカイザーは偉大なだけじゃなく優しく素晴らしい方ですからっ。
プリンセスのイメージの香を自分も身につけたいと思えば、寮生もそう思うだろうと全員に配布するように手配されました」
と大きく頷いた。

「…そっか…オリジナル?」
「ええっ!」
「…う~ん……」
「…それが何か?」
「いや、うちにも配ってくんないかと…。
寮生達がマジ羨ましがってうるせえ」

肩をすくめて言う隣の寮の寮長に、おいおい、金狼寮は寮生が他寮のプリンセスのイメージの香水をつけたいとか言ってて黙認で良いのか?とさすがに思う。

そんな疑問が顔に出ていたのだろう。
香はチラリとモブースに視線を戻して
「…たぶんうちの場合はゴリプリが真っ先にアレ欲しがって床に転がって駄々こねまくるに1000ドル賭けてもOK」
と、その様子を想像したのか、深い深いため息をついた。

ああ、確かにそうかもしれない。
隣の寮のプリンセスは何故か銀狼寮のプリンセスの強火担なのだ。

これは…あるいは金狼寮の寮生達にも行きわたるようにしなければならないかもしれない。
モブースはそう思って、香水開発の担当の使用人に製造量を倍増するようにと申し付けるメールを送った。










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