清く正しいネット恋愛のすすめ_228_誤算

錆兎に賭けの約束も取り付けた。
マフラーも不格好ではあるが出来上がってラッピングも済ませた。
試験も無事に終わって、クリスマスイベントの期間は明日17日から1週間、23日までである。

タイムを登録できるのは1度きり。
練習はできるが、練習と本番は入口が違うので、練習で良いタイムが出てもそれを本番として登録するなどはできない。

だから今日答案返却日で20日の終業式までは学校がないのもあって、明日からは練習会場で特訓である。

そして…それと同時に彼氏組にはさりげなく手作り品をおねだりしてPCから遠ざけた。
そう、それが大切だ。

まがりなりにも鯖でも有数の神ナイトと言われている錆兎がいて6位に入れないという事はないだろうし、それならば自分というお荷物がいる彼女組のチームの方が必死に練習して追いつき追い越さねばならない。

そう、全ての準備は万端で、あとは当日を待つだけと思っていたのが甘かった。
賭けに勝つ前提で計画をたてていたのだが、そもそも普通にやったなら、とんでもない反射神経のプレイヤーが数人混じっていて他もそれなりにプレイヤースキルが高い錆兎のチームに義勇が勝てるはずがない。
そんな一番重要な事を、義勇はすっかり失念していたのである。

錆兎のチームは錆兎と宇髄ははっきり言ってもう神レベルで、伊黒と不死川は上手いプレイヤーという感じだが、義勇のチームはタンクのカナエこそ神だが、亜紀は歌の効果範囲の計算という意味では神かもしれないが、反射神経が神というわけではない。
蜜璃は前衛だがパワーで押しとおして細かなことにこだわらないタイプだ。
そして義勇に至っては、レジェロを始めてすぐに錆兎がいたので攻撃が自分に来ないため、基本的にはその場から動かず回復につとめることがほとんどで動き回るという経験がほぼない。

つまり…錆兎のチームと競っても遜色がないのはカナエだけなのである。

それで勝つつもりでいたのが我ながらなかなか無謀だと、義勇は最初に練習のエリアに入った時に思い知った。

イベントのエリアは全部で3つの部屋。
各部屋には多数の敵。
そして部屋の中に4つ合わせて次の部屋に入場できる鍵になるキーアイテムが隠されている。

つまりプレイヤーが各部屋でモンスターに倒されないようにキーを入手後、次の部屋に進み、最後の部屋を出てゴールするまでのタイムを競うというイベントだ。

部屋の中を徘徊する敵は倒しても瞬時に同数沸くため、叩くだけ無駄である。
そしてパーティーの側も倒されても自動復活はするが、倒された分ペナルティとしてタイムが加算されるというシステムだ。

モンスターの強さはチームのレベル帯で設定されているため、一発殴られたら即死とかではないが、防御が低い後衛なら3,4発喰らえば余裕で死ぬくらいの強さなので、そのままだと前衛…もっと言うと、ナイトが圧倒的に有利になってしまう。
なので、参加ジョブによって若干のタイム加算のハンデがつく。

それでもやはり倒されてつくペナルティには遠く及ばないハンデなのでナイトが有利だと思われた。

そう…錆兎のチームはサビトとシエルという二人のナイト+近接で防御の高い装備を付けられるサネミ、そして召喚獣を囮にできるイグロなので、ジョブ的にも圧倒的に有利なのだ。

それでなくともプレイヤースキルが高い集団がジョブまで有利なのだから、これを覆して勝利を勝ち取るなど、普通に考えれば不可能に近い。


でも…でも、義勇は負けるわけにはいかないのだっ!

絶対に勝つっ!!
…とこぶしを握り締め、チーム全員に毎日つきあってもらうわけにもいかないので、数少ない人脈を駆使して自分と…そして常に義勇に付き合ってくれる亜紀の他、2名を集めて義勇は本番まで、日々特訓を繰り返すことにした。



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