清く正しいネット恋愛のすすめ_220_休憩タイム

自分も苦笑交じりにからかいの言葉を述べていた身で言うのもなんだが、錆兎が今回のことで遺書を書いていたという話で嬉しそうにする隣のユキの気持ちが宇髄にはわからない。

宇髄がからかいを口にしたのは飽くまでそれを聞いた不死川はそのままでは思いつめるだろうし、不死川があまりに落ち込んだら錆兎も困るだろうと思ったからだ。

だがユキのそれは明らかにそういう類のものではない。

それを不思議に思って視線を送ると、彼は当然その視線に気づき、
「うん、やっぱさ、血縁的には社長様は一人っ子なんだけどさ、社長様が可愛がってる弟分が社長様に似てるとこいっぱいだと、なんだか社長様の本当の弟みたいで、嬉しいじゃない」
と、ご機嫌な様子でのたまわった。

「…う~ん…その感覚よくわかんねえわ」
「そう?俺はさ、ウサちゃんにはうちの会社来るか起業してうちと事業提携して欲しいんだけど…。
もし起業したらさ、天元、たぶん俺ポジだから、忠誠心突き詰めすぎてはじけちゃわないとだよ?」
「無理。俺にはユキちゃんのテンション無理だわっ」
「えー。そこは頑張れよ~」
と、そんな会話を交わしているうちに宇髄は理解した。

少なくとも武藤まりの身柄が完全に確保されるまではユキ達とは連携して動くことになるのだが、ユキ自身が特別扱いする錆兎と義勇、それに多少のことは流せる自分以外に対して、その毒舌が向けられると厄介だと言うのが宇髄の悩みの種だった。
が、とりあえず社長様や錆兎を褒めたたえつつ、2人が似ている点をあげれば機嫌が良くなるらしいユキは意外に扱いやすいのかもしれない。

そのあたりは今後おおいに利用させてもらおう。
とりあえず…まずはユキが今回のことで錆兎に対して敵対行動を取った嫌なやつとみなしている不死川が一緒の時などは…。

まあ、そんなところに気を回している時点で、自分はヘキサゴンではユキの枠ではないな…と、さらに思う。

頭の近くにいる調整役という意味ではどちらかと言うと秘書のカイか営業のユートだろう。
館の中のことが中心なランス役は空太&亜紀のCPで、などと宇髄が考えていることを知ったなら、それこそユキが喜びそうではあるが…


まあとりあえず問題は遠い未来より差し迫った明日からのことだ。

まずは当座目指すところは、武藤まりの身柄の確保と国外追放。
それと同時に、今回、万世極楽教に関わってしまったため、そちらも出来れば完全に縁が切れるか、出来ればなくなって欲しい。

今、一応教祖の童磨本人が出て来ての拉致の現行犯というところまでいけたので、童磨には逃げられたものの、正式に犯罪人として追っているところらしいので、警察としては大きく一歩前進らしいが、童磨が逮捕され、教団が解散されるまでは錆兎達はむしろ危険なので、用心が必要だ。

それでも…不死川を早川美弥から引き離せたことで、身内に用心しなければならない状況ではなくなって、錆兎的には随分と気が楽になった。


「さあて、諸君。
不毛な謝罪合戦は終わったかな?
情報交換が終わって今後の話し合いを始める前に、僕が用意した美味しいお菓子と亜紀君が用意してくれた美味しい飲み物で一息いれてくれたまえ!」
と、そこでワゴンを押した空太とランスが部屋に入ってくる。

そうしてランスがそれぞれに飲み物を用意する横で、空太がそのそれぞれのお茶に合わせたお茶菓子を用意していった。



焙じ茶の錆兎には近所の老舗和菓子店の塩大福。
不死川は同じく焙じ茶だが、茶菓子はおはぎだ。
コーヒーの宇髄にはレオニダスのチョコレートを数個、小さなプレートに乗せて出し、ユキにはそれは一人で食べるのか?と思われるような大皿にフルーツとホイップクリームいっぱいのパンケーキと焼き菓子。
それはどちらも空太の自信作だ。

「…美味い……」
ずず~っと茶を飲んだ後に塩大福をぱくり。
その後、絞り出すように言う錆兎の言葉にぱあぁぁっと笑顔になる空太。

「疲れてるから甘い物が欲しいんだけど、甘すぎるのダメだから…。
この少し塩味を感じる餡子が良いんだよなぁ…」
と、しみじみと呟きながら黙々と大福を頬張る錆兎に、

「錆兎君が気に入ってくれたなら良かったっ!
ランスさんと話していたんだが、誰かの好みやその時食べたいだろうものを予想しながら出すものを考えるのって意外に楽しいんだよねっ。
亜紀君と二人でお茶に合う菓子について語り合ったりとかさ、最近、ちょっと料理もマイブームかもしれないっ」
と、テンション高く語る空太。

「…いい趣味だな」
と、錆兎はそれにも穏やかに言う。

このところ色々緊張を強いられるようなことばかりだったので、空太のそんな様子は亜紀とセットでなんだか和んだ。

ああ、自分も諸々の問題を片付けて、義勇に美味しい鮭大根を作ってやりたい。
それを嬉しそうに美味しそうに食べる義勇を堪能したい。


錆兎がそんなことを思っている間、ユキもお気に召したようで、
「このボリュームいいよねっ!
俺さ、食えなかった時代が長かったから、こうやっていっぱい色々乗ってんのが好きなんだよなっ!
生クリーム万歳だし、フルーツいっぱいってそれだけで贅沢な気がして幸せな気分になるっ。
あと…ココア好きってもしかしてどっかで言ったの覚えておいてくれた?
思いきり甘い飲み物と甘い食べ物のコラボレーション最高っ!」
と、社長様と錆兎以外には塩対応の彼に対しては珍しく、空太に満面の笑顔をむける。

「あ、ココアは亜紀君が。
色々な話を総合すると、ユキさんは甘い物が大好きなんだろうということで、ココアにマシュマロがいいだろうと。
でもって…そうなると茶菓子は少し甘味控えめが基本かとも思ったんですけど、頭脳も肉体も酷使してるなら、そこは敢えて糖分多めもありかなと、パンケーキにホイップ多めは僕の判断で。
あとはやっぱりホイップ多めならフルーツも添えた方が見た目もテンションあがるかなと思ってフルーツも多めに。
その代わりに焼き菓子は少し甘さ控えめなものを取り揃えてみました」
と、ドヤヤっとした顔をする語るのが大好きな空太。

しかし普段なら塩なユキはそれを大絶賛。
「ウサちゃんっ!シエルはいいよっ!ほんっと~~にいいっ!
ここまで気が利く人材そうはいないから、今のうちに確保しておいた方がいいよっ!」

そう前のめりに言うユキに
「確保って…なんにだよ」
と、呆れ顔の宇髄。

「え~っと…執事?
うちのランスみたいなもん」

ユキの言葉に
「いやいや、俺はコウさんみたいに社長様なわけじゃないんで…」
と、苦笑する錆兎。

それに
「いやいや、なった時のためにさっ。
とりあえず…今は俺が来る時はこのレベルの応対されれば俺も気持ちよく時間過ごせるから、シエルここにおいといてっ!」
と、ユキらしい無茶苦茶なことを言い始める。

しかし当の空太の方は満更でもないらしく、
「僕はここで暮らしたいって申し出てるんだけど却下され続けて…」
とそこでユキの言葉に乗って来て、最終的に宇髄が

「もういいんじゃね?部屋は空いてんだし、拝島は自分の使う範囲はきっちり掃除くらいしそうだし、邪魔にはなんねえだろっ」
と後押しをして、ここでもう一人鱗滝邸の下宿人が増えることになった。

「まああれだよ。
万世極楽教のことやら、ウサちゃんの粘着女やらのことがきっちり片付くのにももう少しかかりそうだし、それよりなにより、もうそろそろキツネっこのコラボ装備の企画も考えないとだからさ、シエルがお茶の準備してくれんなら、ここで会議にするからっ」
と、それに当たり前にユキが言うのに、

「お前は~~、家主に許可取らずに決めんなよっ」
と、ペチコーンとその後頭部に飛ぶランスのチョップ。

「いってえ~~!!
いいじゃん、いいじゃん、社長様の弟分なら俺の家族も同然じゃんっ!」
と、後頭部を押えてふくれるその姿は28歳の男には見えないが、なんだか憎めず錆兎も吹きだしてしまう。

「あ~、家を使うのは構わないですよ。
もてなす準備をしてもらえるかどうかは空太次第ですが」
と言う錆兎。

もちろん空太がそれを断るはずがない。

「任せてくれたまえっ!
錆兎君の客人は僕の客人っ!
僕は錆兎君の親友だからねっ!」
と、きらり~ん☆と擬音がつきそうな誇らしげな笑みを浮かべた。


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