「これは…黒に近いグレーかぁ…?」
不死川とのやりとりを終え、宇髄はため息をつく。
「うむ、俺もそう思う。
実弥は人が良いからなぁ…」
と、頷く錆兎。
「なんというか…わかりやすいというか……否定されたり避けられたりすると非常に態度が粗暴になるんだが、頼られるとNoと言えないタイプなんだよな…」
「あ~、それわかるわ。
てか、ウサ、鋭いな」
「いや、鋭くないだろ。
普通に実弥と付き合いのやる奴のほとんどがそう思っていると思う。
俺も他人の面倒みるのは嫌いじゃないが、俺の場合は自分の側が好ましいとか思った相手に手を差し伸べるのに対して、実弥は相手側からのアクションで態度を決めるからな。
こういう言い方はどうかとは思うが、悪意を持った人間が操りやすいんだよな…」
「…それもわかる…てか、わかりすぎるわ。
本人は本当に悪気がねえいい奴なんだけどな…。
脳みそが単純に出来過ぎてて……
とりあえず…女子組は夜遅くにありがとな。
今日は解散だ。
部屋に戻ってくれ。
夜更かしは肌にも悪いしな」
と宇髄が言うと、
「じゃあ、お部屋に戻ってスキンケアしましょうね、義勇ちゃん」
と、どうやら鱗滝邸で暮らし始めてから化粧水や乳液その他、基礎化粧品でせっせと義勇の肌ケアをするのも、亜紀の日課になったらしい。
「…本当に…仕えてるな…」
と目を丸くする錆兎と笑う宇髄。
「あれ…伊藤もすげえけど、他人に髪とか顔とか触らせるのに全く躊躇しねえ冨岡もすげえよな」
と、それは感心したように言う宇髄に、錆兎は
「ああ、物心ついた頃からな、年の離れた姉が何でもやってくれてたらしいから、慣れてるんだ」
と、義勇と付き合うことになってから、錆兎に何かと──あの子は自分でできないからお願いね…と念押ししてくる冨岡家の長女の顔を思い浮かべながら言った。
「まあ、義勇のことは今はいい。
実弥について話があるんだろう?宇髄」
と、とりあえず錆兎が話を戻そうと宇髄の方を向き直って茶を淹れなおすと、それには驚いたらしく
「お前、やっぱり鋭いな」
と、宇髄は目を丸くする。
「察するに…お前だけ関わるとかか?」
と、それには答えず錆兎がさらに問いかけると、宇髄は苦笑。
「お見通しってか?
ああ、そういうことだ。
不死川は放置してるとやばいことに巻き込まれそうだし?
見捨てたくねえだろ。
てことで、俺は精神面でも流されねえし、身体的にも自衛くらいなら出来るからな。
たぶん相手にしても一番扱いにくい人間だと思うし、上手く不死川から離れてくれりゃあそれが一番いいんだが…」
「それで?
俺は何をすればいい?」
「…ユキちゃんあたりに、早川美弥のバックボーンを調べてもらえねえ?」
「…わかった。
宇髄がそう言うってことは、普通の女子高生ではないと思わせる何かがあるんだろうし」
「可哀そうに見えすぎんだよ」
「断られた時の反応が、か?」
「そそ。たまたま不死川の仲間内では今ちょっと一見はNGってだけで、クラス委員が他なら誰でも紹介するって言うのに泣きそうな顔しねえだろ、普通なら。
泣きそうな顔して自分は迷惑みたいだから…みてえなのって、メンヘラの可能性もあるけど、今の状況だとなんか企んでる奴かなと…」
「宇髄…人を分析する能力、すごいな」
「まあな。
メンヘラならメンヘラで遠ざけてえけど、そうじゃない場合は目的知りてえだろ。
そういうことだからってことでユキちゃんに依頼頼むわ」
「了解した」
「とりあえず不死川と転入生には、少なくともお前と冨岡に関しては真菰ちゃんがモンペで絶対にNGって言うから無理だからってことで、俺は普通に不死川の友人として付き合うのは問題ないって言っておくから。
甘露寺は伊黒が近づけさせないのは転入生に限ったことじゃねえし、しのぶは自衛できる。
村田とかにはたぶん興味ねえだろうしな」
「…村田は良い奴だぞ」
と、その言葉に錆兎はちょっと眉を寄せるが、宇髄は
「わかってるって。
ただ、おかしな奴に粘着されるほど目立つ奴じゃねえからな」
と、苦笑する。
こうして秘かに決まったことは、亜紀と伊黒にだけはメールで知らせて、その日は男二人も解散とあいなった。
不死川チョロ実ん…(;^ω^A
返信削除誰かの面倒をみることがライフワークの長子ですから😁
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