──なんだ…無事だったのかよ…
義勇が錆兎の家から飛び出して行ってしまったと聞いて数時間。
そして全くみつかることもなく、雨まで降ってきたので嫁達に礼を言って家に戻ってもらおうとしたが、宇髄を心の底から愛してくれている嫁達は、天元様の大切な用事なのだから、雨の中の仕事など忍び時代は当たり前にやっていたのだから…と、協力続行を申し出てくれて、胸がジンと熱くなる。
そんな時、その熱くなった胸が一気に心底冷め切るような連絡が入った。
──おそらく十二鬼月らしき者に甲二人が敗北殺害。未だ近辺をうろついている可能性あり
提示された場所からすると、発見者はおそらく錆兎だろう。
下弦なら問題なく倒すだろうが、上弦だと柱と言えどもかなり危険だ。
早く合流してやらねば…と思うが、こうなると嫁達だけ返すのも心配で、結局4人集まって現地へ急ぐ。
そして現場の方から走ってくる錆兎とかち合った。
まずは何はともあれ、冒頭のようにその無事を安堵した。
これから不死川の話を聞いたり義勇の話を聞いたりすればまた問題勃発は不可避なのだろうが、それでも最低限、命あっての物種だ。
ここで錆兎が上弦とやりあって死んだり柱を続けられないレベルの怪我を負ったりすれば、戦力が減るのだからやめさせられないにしても、不死川も白い目で見られかねないし、本人も精神的にきつくなる。
錆兎自身ではなかったとしても義勇が食われでもした日には、今度は規則など気にすることもなく、錆兎が不死川を殺しにくるかもしれない。
そう考えると錆兎自身に加え、義勇もその腕の中ですやすや眠っている姿を見て、宇髄は心の底から安堵した。
「とりあえず…水柱屋敷よりうちの方が近いから、雨が止むまでうちで過ごしましょうか」
と、珍しく宇随の言葉を遮って言う雛鶴。
「あ~、義勇ちゃん、濡れちゃいますしね。
これ、使います?」
と、須磨はとててっと錆兎に駈け寄って、どうやら彼女達が常備している特性の水を通しにくいらしい羽織を少しでも濡れないように2枚の羽織でグルグル巻きにした義勇にさらにかけてくれた。
「じゃ、私らは水柱様を音柱屋敷にご案内という事で、水柱屋敷で待っていらっしゃる不死川様には天元様がご連絡を?」
と、最後にまきをがそう言うと、
「さすが俺の自慢の嫁達だなっ。
それで頼まぁ」
と破顔する。
こうして錆兎は宇髄の3人の嫁に連れられて音柱屋敷に。
そして宇髄は水柱屋敷にと、急ぎ向かった。
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