清く正しいネット恋愛のすすめ_195_ファンパニック

「…あの…サビト先輩っ、これ、受け取ってくださいっ!!」

休み時間、いきなり渡される手紙。
SNSはやっていないし、メルアドやLineは連絡を取る相手が増えると管理しきれなくなるから不可と言ったら、こうして手紙を渡されることが増えた。

予めレジェロ公式でも受け取る時でも多すぎて返事は書けない。
読めるかどうかもわからないと何度も言っているのだが、それでもいいから、受け取るだけでいいからと渡してくる女子があとを絶たなかった。

もちろん、それじゃいやだ、一緒にレジェロでプレイしてくれと言い張る相手もいなくはなかったが、それは全て、今は運営と契約していて、コンコンキツネ内以外とプレイできないと言う風に断っている。

もちろん方便だが、アオイを通して運営の側にそういう事にしてもらえるように頼んであるので問題はない。


わざわざ中等部から高等部の校舎に忍び込んでくる後輩女子が一番多く、次いで同級生…中には上級生の女子や、他校の生徒から頼まれたという人間までいて困ってしまう。

他にも運営の方にも怒涛のファンレターらしく、やはり若者に人気のゲームでヒーローのように扱われてしまうとすごいことになるんだな、と、再認識をせざるを得ない。

校内で許可なく他人を撮影しないように…と、改めて学校側からも警告がでる騒ぎで、本当にため息だ。

ただ、普通ならそこまでになると本人も色々と学校側に良い顔をされなくなるところなのだが、今回に関しては元々は学校側から武藤まりを探し出す協力をということもあってのレジェロ関係の顔出しなので、学校側がむしろかなりの配慮をしてくれているのが救いである。


コンコンキツネに所属するメンバー全員が騒ぎの渦中の人になっているのだが、特にイベント関係の戦闘だと目立つため、ナイト人気はすごい。


追いかけまわされるのは今に始まったことではないが規模が違いすぎて戸惑う錆兎だが、全然経験がないはずの空太は意外に平気らしい。

「だって、適当に手を振ってあとは流していればいいんじゃないのかい?
付き合って欲しいとかそういう系には『気持ちはわかるけど、ゲームとリアルを切り分けられないタイプの人間は僕はダメだから』で済ませているよ」
と、騒がれることは楽しみながらも、それ以上踏み込ませずにいられているようだ。

まあ…空太の場合、彼女の亜紀もナイト以上に扱いの難しい希少な音楽家様なので、少なくともゲーム内で取って代わるのは無理があるというのもあるからだろう。


錆兎の場合、自分が追いかけまわされることがイコール義勇に取って代わるための義勇たたきになったりするので、そちらの方が大変だ。

もちろん、義勇は義勇で錆兎と付き合い始めて徐々にそういう傾向は出てきたのだが、実は本当に美少女なだけではなく、おっとりと愛らしい性格であることもあいまって、守ってあげたい妹として男子に認知されつつあるが、男の方が想い方が静かな気がする。

また、錆兎が強すぎて、正面切って叩けないというのもあるだろう。
その分、こっそり隠し撮りをしようとする輩は多いので、そのあたりはよく気の付く胡蝶しのぶや宇髄に任せてしまっている。


「俺達は全員同じ学科の同じ学部だけど、カナエさんとかは大丈夫なのか?」
と、自分達の周りの騒ぎに心配になって彼女の妹のしのぶに聞けば、
「姉が校内で人気なのは今更ですし?
校外でもたいていは真菰さんと一緒ですからね。
たいていの人間は張り倒せますよ。
人気者としての対応にいつまでも慣れないのは錆兎さんくらいです。
規模はとにかくとして幼稚舎からずっとなんですから、いい加減慣れたらどうですか?」
と、ぴしゃりと言われてしまった。

それを横で聞いていた義勇にも
「大丈夫!錆兎が慣れることができなくても、錆兎の平和は私がちゃんと守ってあげるからねっ」
などと慰められてしまって、我ながら未熟でなさけない限りだと思う。

「…義勇は…自分は平気なのか?」
と、そこで問い返せば、義勇は当たり前の顔で
「好きと言われるだけなら何も問題はない。
小等部入学時から不死川に怒鳴られ殴られし続けたことに比べれば全然余裕だよ」
と、本人は悪気なく、別に根に持っているわけでもなく、単に錆兎に説明をするためだけに口にしたその言葉で、不死川がすさまじいレベルのダメージを負っているのに、錆兎は心の中で土下座した。



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