とある白姫の誕生秘話──華麗なる大移動1

──この薔薇のような真っ赤なバラの花びらを敷き詰めたベッドでアリアを抱きたい…

…………勘弁してくれ……



さらさらの光色のロングヘアの美少女キャラの目の前に差し出される真っ赤な薔薇の花。
図的には素晴らしいと思う。


一応このゲームには普通に花も存在しているし、それを贈る事も可能だ。
贈られた花はギルドハウスや自室に飾る事が出来る。

まあたいていはゲーム内と言えどみな現金なもので、綺麗なだけで安価な花よりは、装備すればステータスがあがって換金すれば高額になる装備品の方が喜ばれる。

だが、アーサーが目指しているのは強さではないので、花は迷惑ではない。

花をあげたくなるようなキャラと思われるのは歓迎すべきはずだ……そう…相手が普通に渡してくるならば……


これが女性なら完全にセクハラだと思う。
というか、誰相手でもセクハラじゃないだろうか……

目の前で膝まづいて花を差し出す女戦士は視覚的には悪くはないが、本当に本当に、渡しながらログに流れる言葉で全てが台無しだ。

怖い…気持ち悪い…ひたすら怖い……


ということで限界だ。
と、アーサーはおそるおそるケイトに言う。

「…あの…ごめんなさい。やっぱりこういうの無理です……」

出来れば事を荒立てたくない。
でも無理なものは無理と必死に言った言葉に返って来たのは

「ああ、アリアってあんまり男性慣れしてない感じだよね。
大丈夫。実際に会える事があってもいきなり乱暴に襲ったりしないから。
大切に大切に抱くよ?」


………吐くかと思った。

いやいや、その前に会う事は絶対ないし?
自分は男なので、会ってもそういう関係になる事は絶対にないし?

でも気持ち悪いし怖い事には変わりない。


もういっそのことカミングアウトしてしまおうか?
出来ればゲーム内ではKawaii愛され少女キャラを楽しみたかったのだが、本気で限界だ……

「…あの…ケイトさん…」
「ん?」
「実は……」


お、お姫さん、お待たせー!!!

意を決して言いかけた時に、颯爽と現れるプルシアンブルーの騎士。

「あ、ギルさんっ!!」
と、駆け寄ると、ギルはさりげなくアリアをかばうように、自身の腕の中に抱き込んだ。




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とある白姫の誕生秘話始めから


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