青い大地の果てにあるものGA_番外9_乙女達の遠征旅行2

こうして期待に胸ふくらませた温泉旅館。

当然のようにギルベルトとアーサー、エリザとフランソワーズ、そして遠子と翼が2人部屋。
あとの6人のフリーダムは3人ずつに分かれて泊ることに。

オフシーズンなのと先日の極東支部へのレッドムーン襲撃で今ほかの泊り客がいないという旅館の風呂は貸し切り。

──あたしたちはこれからアーサー君とギル誘ってお風呂だけど一緒に行く?
と、当たり前に頂いたエリザのお誘いを2人は丁重に辞退した。

──そう?じゃ、またの機会に…

と手を振るエリザを見送って2人。
ガララっと閉まるドアに互いに顔を見合わせた。


「翼さん、行かなくて良かったんですか?」
と、まず口を開いたのは遠子だ。

本部の食堂勤務と極東ブレイン勤務。
この遠征まで接点がなかった2人だが、2人ともエリザを編集長とする雑誌【ブルーアース乙女ジャーナル】の愛読者同士というつながりもあって、互いに互いが腐っているのもアーサー厨なのも知っている。

だからてっきり相手はエリザの誘いに乗るものだと互いに思っていた。

だが…双方辞退するのに、双方が不思議に思う。
そしてまず疑問は疑問として留めておけない遠子の方が問いかければ、翼はかぁぁ~~っと赤くなった。

「…恥ずかしいじゃないですか……」
と、そこで返ってきた答えに、入浴着を着用するとはいえ、やはり男性との混浴は恥ずかしいのか、と、思えば違ったらしい。

続く言葉は…
「アーサーさんの半裸なんて絶対に鼻血で湯を真っ赤に染めちゃいますし
…で、遠子的にはなるほど、そっちか…と、納得した。


「なるほど。
確かにアーサーさん、顔が犯罪的に可愛いだけじゃなくて、そんじょそこらの女より細くて肌もすべすべ胸の突起もピンクで、エロゲも真っ青なエロさですもんね」
と、うんうんと頷いて答えると、翼は

見たことあるんですかっ?!!!
と、ギン!!と目を血走らせた。


「そりゃあアーサーさんは極東支部で生まれ育ってますから。
極東支部の女に対しては警戒心てものがないんですよ。
急いでたら普通に私達いても着替えちゃいますし、逆にイベントの衣装とかは私達が用意したりしてましたしね」

「なんて…なんて羨ましいっ!!!」
本部ではそのあたり、本部一強力なセコム(ギルベルト)がガードしていて、絶対に目にする事はできないだろう。
そんな事を思いながらこぶしを握りしめる翼だが、ふと不思議に思った。
そして聞く。

「鼻血を吹きだして引かれる心配がないなら、遠子さんは何故一緒にお風呂に行かないんですか?」

そう、自分だって素知らぬ顔で観察できるなら、絶対にこんな機会を逃すようなことはしない!
そう思って口にした翼の問いに、遠子は何を当たり前のことを、と、言わんばかりに目を丸くした。

「だって私は夢は対象外なので」
「はい?」

「だ~か~ら、私は推しは自分と接触を持って欲しいわけじゃないんです。
推しは少し距離を置いてじっくりと愛でるものじゃないですか。
そこに自分が入っちゃだめなんですよ!」

ひたすらにカメラの手入れをしながらそう主張する遠子。

「え~っと?つまり??」
真意をはかりかねて首をかしげる翼に、遠子はにっこり

「温泉でギルベルトさんとくつろぐ可愛いアーサーさんを激写しに行ってきます」
と、カメラをかかげて部屋を出て行った。

…ご丁寧に…音の出るスリッパを避けて持参したバレーシューズを履いた状態で……




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