青い大地の果てにあるものGA_番外9_乙女達の遠征旅行3(完)


欲望に素直に全力疾走する同僚を見送って、翼は葛藤する…。


生の半裸アーサーさん…その言葉に惹かれないでもないが、ここは理性だ。

そんなものを見たら、絶対に鼻血を抑えられない。

そうしたら…気づかれる。
浴場に流れる鼻血で絶対に気づかれる。

半裸のアーサーさんを見て鼻血を流したなんて気づかれたら最後、あの、容赦のない男に消される!

いや、良い人だよ?同僚としては気持ちの良い男だとは思う。
普通、この世界に12人しかいない選ばれた存在のジャスティス様がナチュラルにジャガイモやキャベツの入った段ボールを運ぶのを手伝ってくれたりはしない。
それを食堂職員に気軽に声をかけて率先して力仕事を手伝ってくれるギルベルトは良い奴だ。

自分のことを男と間違っていたのも、まあ目をつぶろう。
というか、男キャラのコスプレをしていたのだから男と間違われるのはむしろ喜ばしいことだ。

だが…アーサーさんが関わった時の奴はだめだ。
と、翼は思う。

アーサーさんが関わった途端、奴は危険な男と化す。
アーサーさんの半裸を見て鼻血を流した時点でアウトだ。
危険人物とみなされて排除される。

だから翼は大人しく1人部屋に残って、遠子がおそらく隈なく取ってくるのであろう、“温泉を心から楽しむアーサーさん”の写真を待つことにした。




一方で遠子は本気だ。
足音をたてないようにバレーシューズ。
もちろんフラッシュ禁止で、小さな身体を最大限利用して物影に隠れながらアーサーの姿を追って移動する。
まさに忍びの国の女である。

こうしてアーサーの姿をカメラの一つで激写。
ギルベルトが一緒に入る時はもう一つの極々プライベート用のカメラだ。
このプライベート用は文字通り、門外不出、自分で楽しむためだけの画像である。

わざわざ変えるのは、アーサーのみなら遠隔系ジャスティスで視覚聴覚に優れた相手なので、今も本人は撮られているのは当然気づいていて、そこでストップがかからないということは、本人の許容だと言う事がわかるから良いのだが、ギルベルトの場合は撮られていることに気づいていない。

だから映像は自分が誰にもわからないように眺めて楽しむだけで絶対に周りには流さない前提なのだ。
そこはプライバシーと言う奴である。
楽しく平和に腐女子生活を楽しむためには、色々と気遣いも必要なのだ。


ということで楽しく全てをカメラに収め、風呂からあがって着替える時には礼儀として視線を外す。
外して…窓の方へ………え………?

窓の向こうの目とばっちり視線があった……と、思ったら???

遠子の記憶はそこで途切れた。

そして次に意識が戻った時には美しい女性用の着物を着たアーサーが子ども達と戯れるという美しすぎる図が目の前に広がる楽園にいたのだった。


Before <<<  >>> 13章一族11へ続く


0 件のコメント :

コメントを投稿