のっと・フェイク!verぷえ_第三章_6

対面

 二人が部屋から出て行くと、プロイセンは再びベビーベッドに目を向けた

そこでは双子の赤ん坊の片割れが、あうあう元気に声をあげながらじ~っとプロイセンに目を向けている。

白い人形のような小さなてのひらをソっと人差し指でつついてみると、産まれたてだと言うのに、きゅうぅっとその指をつかむのが面白い。

(…確か…原始反射の一つで…把握反射だっけな?)

プロイセンはこの日のために何冊読んだかわからない育児書の中の知識を探った。

これは何もプロイセンが親だからやっているわけではなく、産まれたての赤ん坊の反射の一つである。

それでも面白い。楽しい。

本で読んだ産まれたての赤ん坊がするらしい原始反射を、色合いこそイギリスと同じだがまるで自分を小さくしたような顔立ちをした自分のクローンのような赤ん坊で一つ一つ試して、プロイセンは楽しんだ。

どうやら赤ん坊は根性もプロイセンに似たらしい。

産まれたばかりで色々試されても疲れもみせず泣く事もせず、きちんと育児書の書かれていた通りの反応を見せてくれる。

「お前、まじすげえじゃん」
と思わず言うと、気のせいに違いないが、にやりと得意げな笑みを浮かべた気がした。


そんな片割れと違い、こちらは母親似の顔立ちの女の赤ん坊の方は泣き虫な性格も受け継いだらしい。

1人で放置されている事が寂しいのか心細いのか、ぴえぇぇ~とか細く泣き始める。



「お~、わりっ。お前の事もちゃんと構ってやらねえとだよな」

プロイセンはそう言って、今度は男の方の赤ん坊をイギリスの隣に寝かせると、女の子の方の赤ん坊の小さな体をだき上げた。


「お姫さん、アルトに似てマジ可愛いなぁ」

イギリスに似て口ほどに物を言うような大きな目。
本当に愛らしい顔立ちをしている。

もちろんそれだけではない。

子どもというものはそれだけで可愛らしいものではあるのだが、この赤ん坊は他人ではないのだ。

自分とイギリスの血を分けた子ども…。

この子の中には自分とイギリスの血が受け継がれているのだ。

そう思うと、嬉しくて愛しくて堪らない。



「…双子…なのか…」

プロイセンが片方の赤ん坊と戯れている間に目が覚めたのか、イギリスが自分の横に寝かされている赤ん坊のふわふわの髪をなでながら、そうつぶやいた。


「そうだぜっ!驚いただろ?
こいつら、すっげえ面白いぜっ!
そっちの男の方はアルトの色合いなのに顔立ちが俺様そっくりで、こっちの女の方は全く逆なんだよ。
まさに俺らの子だよなぁって、俺様感動しちまったぜ」


ほら、そっくりだぜ~と、プロイセンはは自分のだいていた赤ん坊を反対側のイギリスの隣に寝かせて3人並べて笑う。

その笑みは本当に本当に幸せそうで、イギリスも温かい気持ちになった。

「出産お疲れさん。
これから始まる育児は俺様もしっかりやるからなっ!」

と言う子育て成功者として名高いパートナーの言葉は頼もしい。

不安が一気に吹き飛んで、騎士の名にかけてもお前と子ども達は何があっても守るからな…と、真剣な顔で口付けるプロイセンに、イギリスも幸せをかみ締めた。



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