てことは…またイギリスは俺様の前から消えちまうつもりなのか?!」
もう何故?どうして?だらけだが、まずはそれ。
妖精さん達は嘘をつかないと以前イギリスが言っていた。
“言わない”ことはあっても“嘘を言う”ことはないのだ、と。
ということは、色々な理由はおいておいて、まず今後だ。
それを一番恐れていた。
だからそれを一番に知りたい。
それでそうだと言われたとしたら……断固として阻止だ。
そのためには正確な情報が必要である。
「…イギリスを幸せにしてえと思ってる。
でも俺は俺も幸せになりてえ。
だからまた失くしたくはねえんだよ…」
切実な気持ちを訴えると、幸いな事に妖精さん達はその杞憂は否定してくれた。
(消えないわ)
(今度はね、消えたくないから、あの子は隠してるの)
(ウサギさんが怒っていなくなっちゃうって思ってる)
(あの子を怒らないでね?)
(あの子を嫌わないで?)
少し心配そうな声。
光も若干力なく明滅している。
「怒らねえよ…嫌うわけねえだろ」
プロイセンは両手で顔を覆った。
「嫌えるなら未だ心配すぎて夢に見たりしねえよ。
怒るとしたら…俺様に守らせねえで自分だけで心配ごと抱え込んでた事くれえだ」
そう…神に仕える修道会から端を発したプロイセンにとって、恋愛も結婚も神聖なものだ。
ちょっとやそっとで嫌になるなら愛したりしない。
「…っとに…全身全霊で守ってやんのに…守らせろってんだ」
はぁ…と、息を吐きだすと、光達はまた安心したように明るく輝きだした。
(あのね、あの子は甘えたかっただけなの)
(ずっと辛い事ばかりだったから、優しくされたかったの)
(ただ愛されたかった…それだけなのよ)
ああ…確かに、あの当時は殺伐としていた。
昨日の盟友は今日の敵だ。
思えば一緒に暮らし始めた当時はイギリスとプロイセンの関係は良好だったが、イギリスが消えた頃はアメリカの独立戦争前だったか…
なるほど、国の関係がそのまま個人の関係に影響するのではと思えば、言えるはずもなかったのか……
──それでも…あいつは大勢いる国体の中で俺様を選んでくれたんだよなぁ……
と、妖精さんいわく“甘えたかっただけ”という相手に選ばれ、今もまた一緒にいたいと思われているのかと思うと、少し顔がほころんだ。
「妖精さん、話してくれてありがとな。
あんた達の好意は絶対に無駄にしねえ。
イギリスが安心して笑ってられるように、俺様全力を尽くすからな」
と、顔を覆っていた手をどけて、光の方へ視線を向ければ、
(ありがとう、ウサギさん)
(あの子を幸せにしてあげてね、ウサギさん)
(あたし達も協力するから)
と、世界一頼もしい相手が味方になってくれる事になった。
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