10年だ。
10年の間人間として共に過ごして人柄を見極めれば良い。
プロイセンは性的嗜好は異性愛者だろうから、関係を結ぶなら女性の方が容易だろうし女性の姿で。
年齢的には特に幼女趣味とも熟女趣味とも聞かないので年は妙齢ということで10代後半くらいだろうか…。
こうして、魔術はお手のものだが、一応妖精たちの力も借りて、うら若き女性へと姿を変えて、単身渡独をした。
そこまでは良かった。
が、そこでイギリスは大変な事に気付いたのである。
そんなに簡単に誰かを魅了出来るような性格をしているなら、こんな風に1人きりで疲れきっていたりもしていないわけで……
つまり、口説き方がわからない。
さらにそれとなく探ってみれば、相手プロイセンはあれだけ整った容姿をしているだけあって、言い寄る女性も多いらしいのに、浮いた噂ひとつない。
つまり…相手の好みもわからない。
八方ふさがりだ。
そこでテンションが一気に下がった…
──どうせ…愛されると言う事に縁のない身だったんだ……
相手に近づいて人となりを…と勢い込んできたものの、それがどうやっても無理な事がわかって、泣きたくなった。
愛されたい…優しくされたい……
多くの人が多かれ少なかれ手に入れているそんな類の幸せがイギリスにはひどく遠く感じた。
気力が地の底まで落ち込んだ。
それでも…優しい妖精たちの力まで借りたわけなのだから、何もせずに帰るなんて事はできるはずもない。
自分はどうやっても愛される事のない身なんだ……
そんな事実を改めて突きつけられるだけとわかっていても、イギリスは引けなかった。
悲しくて、寂しくて…震えながらも、国体にしては質素なプライベートの時はそこに寝泊りをしているらしいアパートに戻るプロイセンを待ち伏せて、絶望する前提でそれを口にしたのだ…
──あなたの時間を10年下さい。
と…。
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