というフランスの訴えはアメリカの
「ミサイル…」
のつぶやき一つで却下された。
こうしてそれからすったもんだした挙句、結局プロイセンとイギリスの新居まで来た3人組。
夜中まで時間をつぶしてイギリス宅へ。
家まで車で乗り付けるとバレるかもしれないので、少し離れた所に車を止めて、延々と続く田舎道をイギリス邸まで歩く。
「なんで私までついてきているんでしょう?」
と遠い目をした日本の呟きに、
「だっていざ坊ちゃんに命乞いってなったら、日本以外に聞いてもらえる相手いないじゃない」
と、フランスは滂沱の涙。
それを聞き咎めたアメリカが
「何言ってるんだい?
イギリスが俺に害をなそうなんてするわけないじゃないかっ。
彼は俺の事大好きなんだから」
と、言うのを聞いて、
「…お前…会議場での事はすっかり頭から抜け落ちてるね…」
と、肩を落とすフランスに、
「なんのことだい?」
とにこやかなアメリカ。
その2人を見比べて、日本は
「どちらにしても…私に同行するメリットはないように思われますが…」
と、小さく首を横に振るも、そこはフランスが上手に
「ええ~?
でも日本だって普通にお招き受けただけだと、ぷーちゃんと坊ちゃんの寝室までは案内してもらえないでしょ?
今なら超大国様に引っ張られてって形で2人の寝室にお邪魔出来るよ?
薄い本の寝室の描写にリアリティが出るんじゃない?」
と乗せれば、ああそうですね、と、目に若干の光が戻って来た。
どちらにしてもアメリカがその気になった時点で自分には拒否権がないのだから、少しでも何かを掴んでこなければ…そう開き直って、日本もそ~っと鍵を開けて中に入るフランスとそれに続くアメリカにしかたなく続く。
そうしてイギリス邸内。
「ね、入ったからもういいでしょ?」
と、小声で言うフランスの言葉をスルーして、
「イギリスの寝室はどこだい?」
と聞くアメリカ。
「…これ…万が一“最中”だったらどうするつもりよ…
お兄さん、他人だったらハァハァものだけど、さすがに知人同士の濡れ場とかは見たくないんだけど…」
と危惧して形の良い眉を寄せるフランスに
「…それは…美味しいですねっ!」
と、いい笑顔で親指を立てる日本。
どうやら何かのスイッチが入ったのかノリノリである。
むしろフランスの方が、ああ…切実に帰りたい…帰ってしまおうか…と一瞬思うが、少しでも足を止めようものなら、アメリカが後ろで──ミサイル……──と呟くので、美しいパリを火の海にする事はできないと、涙ながらに足を進める。
こうしてかつて知ったる腐れ縁の家をフランスを先頭に進んでいく。
そして二階の一番奥。
重厚な木のドアが見えてきた。
このドアの向こうに答えが待っているはず……
3人3様に緊張感を保ちながら、先頭のフランスがドアのノブに手をかけた。
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