フェイク!verぷえ_第三章_4

そうして辿りついた会議場。

当たり前に開かれるドア。

一応国の存在は機密扱いで会議が開かれる9階には主催国であろうと一般人は入れないのだが、プロイセンは一応元国と言う事もあり同行。

8階に控えている部下から渡される今日の資料の束も全部当たり前に持つ。


結構な量なのに片手であまりに軽々持っているので、会議室について一旦それを置いた時、イギリスも持ってみたが、とんでもない重さだ。

もちろんイギリスだって近年はデスクワーク中心で少々なまってはいるとはいえ、一般男性程度の筋力はあるのだ。

決して特別に貧弱と言うわけではない。
プロイセンがムキムキなだけだ。

配布しようと両手で書類を抱えてフラフラと歩いていたら、当たり前に片手でそれを全て取りあげられた。

全くふらつくことなく立つプロイセン。

つい習慣で一言二言何か言われるかと身構えるが、プロイセンはただニカっと笑って

「ああ、いい。それ俺様持つから、アルトはこいつ配っておいてくれ」
と、一番上の束だけをイギリスに渡してきた。

そして付け足す。

「お前に書類が持てたって、俺様は主催国じゃないし各国の席順わかんねえから、反対の分担はねえだろ?」



ああ、本当にこういうところは上手いな優しいなと思う。

大勢いる場ではいつも騒々しく「俺様最強だぜ~!!」とか騒いでいるイメージがあるが、プライベートのプロイセンはこういう男だ。

アメリカやスペインのように腕力があることを誇ったりしないし、フランスのようにイギリスの腕力がない事を貶めたりしない。

無駄に傷つけたり争いを起こしたりする事を避けて、上手に事を運んで行くのだ。

そう、イギリスはずっとそれを知っている。

知っているからこそ、何かあった時はいつもプロイセンを選んできたのだ……

そう…プロイセン自身も知らないことでも……

選んできたのは常にイギリスの方だ。

過去も現在も、そして…未来もきっと……


そんな状況でもプロイセンは優しいから拒絶はしない。
こちらが手を伸ばせば受け入れて労わってくれる。

寄りそって寄りかかって…
物ごころついた時から許されなかったそんな甘えを受け入れてくれるプロイセンが好きだ。

たとえそれが頼ってくるものを突き離せない兄気質から来ているものだとしても、構わないくらいには。


これまでは舐められたり馬鹿にされたりするだけだった童顔も、こういう時には役に立つ。
子どもっぽくて何が悪い。
童顔万歳だ。

1人では主張できなかったそれも、後ろでプロイセンがフォローしてくれると思えば堂々と主張できる。



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