フェイク!verぷえ_第三章_1


「普英!時代は普英だったんですねっ!!!
アメリカさんの思い込みでもなんでもなくっ!まさに真実っ!!まさにジャスティス!!」

一枚のハガキをしっかりと手にして叫ぶ日本。


「ああ…イギリスさんも師匠も水臭い。爺にまで秘密にしておかなくても。
言って下さればお二人の仲をより親密にする素敵グッズを色々送って差し上げましたものを…!
とりあえず…今からでも送って差し上げなくては…」


大きなダンボールにリラックス効果のある香や入浴剤…は良いとして、YES!枕とか、怪しいコスプレ服とかが入ったあたりで、アメリカは大きく息を吐き出した。


「日本…プロイセンとイギリスだよ?フランスじゃないんだよ?
その中身、本当に送るつもりかい?」

目の下には隈…心持ちやつれた様子で首を横にふるアメリカに、日本は

「もちろんですとも!」

と、大きく頷いた。


満面の笑みを浮かべたプロイセンと少し困ったように微笑むイギリスの写真入りの結婚報告のハガキ…

最初に本人に聞いた時はアメリカもまさか!と思った。

直接聞いた本人がまさかと思うくらいだ。
そのアメリカから間接的に聞いた日本は完全にアメリカの求愛に困り果てたイギリスの嘘だと思っていた。

しかしどうやら2人は本当に双方の一番の身内であるドイツとカナダを呼んで式まで挙げたらしい。

ドイツに確認を取ってみても確かに本当の事だと言われたので、こうなるともう方便というものでもなく、本当に結婚したのだろう。

2人とも自分とは距離のある仲でもないのに、言ってくれないとは水臭いとは思うものの、プライベートになると非常に照れ屋のイギリスの事だ。

何かのきっかけがないとなかなか言い出せないと言う事もあるだろう。

そんな風に日本が結婚の事実を知ったのはハガキが届いた昨日だったが、それより少し前に式に証人として出席を促されていたカナダ経由でその事を知っていたアメリカは、最近すっかり意気消沈していた。

日本に慰めてもらおうと思って来日したわけだが、当の日本は前日ついた結婚報告のハガキを前にハイテンションすぎて、アメリカの傷心など気にもかけてくれない。

正直泣きそうだった。


「明後日の世界会議、楽しみですねぇ」
(…もしこれがデマだとわかるなら、楽しみだけど……)

「ああ、でもどうせお会いするならお祝いもいくつかは手渡しした方が早いですよね」
(…もしこれがデマなら、贈り物くらい自家用機にいっぱい積んでいくのに……)


「人妻、人妻になられたイギリスさんっ!!
ああ、楽しみです~~!!!!」

君は空気を読む国ナンバーワンの称号はどこに置いてきたんだいっ?


そう叫んで走り去る若者を見送って、日本はやれやれとため息をついた。


「イギリスさんがどこまで本気なのかはわかりませんが…アメリカさんの求愛を断るのに相手にプロイセン君を選んだのは良い人選ですね。
そのまま嘘から出た真…になってしまえば、私としてはネタ的にも美味しいんですけどね」

と、言う日本の本音の呟きは、当然走り去って行ったアメリカには聞こえない。
まあ、聞こえては困るのだが…

そう、伊達に空気を読む国と言われているわけではないし、ましてや自分と親しい2国の事でそこまで状況を読めない日本でもない。

おそらく今回はイギリスはアメリカ避け、プロイセンの側はおそらく悪友の誘い避けのフェイクだろうと見ているが、それはそれで実はお似合いの2人だと思うので、くっついてしまえと遠い東の国から念を送りつつ、

(元騎士団のプロイセン君がどんなふうにパートナーをエスコートするのか、これは一見の価値ありですよね)

と、緑茶を啜りながらほくそ笑むのだった。



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