フェイク!verぷえ_第二章_8

食器を洗って片付けて、自分もシャワーを浴びて私服に着替える。
そして寝室までイギリスを迎えに行くと、そこにはなんとも可愛らしい私服のイギリス。

シンプルなシャツの上に羽織るカーディガンは大きめで、袖が手のひらにかかる、いわゆる萌え袖になっていて、スリムなタイプの七分丈のパンツと合わせると、マニッシュな格好をした少女のような印象を受ける。


それでも普段なら男である事を強烈に主張する愛らしい顔立ちに不似合いな太い眉は帽子に隠れていて、強くそうだと言われれば、本当に少女に思えなくもない。

まあ…公称では175cmある事になっているのだが、そのわりに小柄に見えるのはおそらく細いせいばかりではないだろうとは思うが、そのあたりは触れない事にしておく。

別にベルリンは同性愛には寛容な都市ではあるが、プロイセンの性癖的に恋人として連れ歩くなら、ムキムキのガタイの良い男よりは可愛らしい子の方が良い。



「支度出来たみてえだな、じゃ、行くか」
と、イギリスの手を取ると、プロイセンは玄関に向かいかけてふと足を止めた。

「…なんだ?」
と、きょとんと見あげてくる大きな丸い目が本当に愛らしい。

それにちょっと笑みをこぼして、

「分かってると思うけどな、外では国名はタブーな?
俺様の事はギルって呼べよ?
俺様もお前の事はアルトって呼ぶから」

と、念のため釘を指すと、

「ああ、わかった」
と、イギリスはそれにも素直にこっくりと頷いた。





こうして2人で出かける宝石店。
シンプルなプラチナで、プロイセンの方は小さなペリドットが、イギリスの方は小さなルビーが埋め込んであるペアリングを買った。

その後は公園を散歩したりカフェでランチ。

良い時間になったらシュタイフのショップに行って、これも記念に大きなティディを買ってやって、それを手に今度は夕飯の食材を買いにマーケットへ。

イギリスは躊躇したものの、そこは恋人らしくとその間ずっとプロイセンはイギリスの手をしっかり握ってあちこち練り歩いた。

もちろんそこはプロイセンの生活圏内で、いつも利用する店も多数あり、見知った店員、店主も多数いる。

なかには
「ギルベルトさん、可愛い子連れてるね。恋人かい?」
なんて声をかけてくる人間もいて、そんな時にはプロイセンは堂々と

「おう。色々あって周りには秘密にしてたんだけどな、ようやくこいつもオープンにして良いって言ってくれたから、今度結婚するんだぜ~!」
と言って回るので、イギリスは真っ赤になるが、周りはみんな口々に

「そいつはおめでと~~!!」
と、祝いの言葉を投げかけてきてくれて、中にはサービスに少しおまけをしてくれる店主もいた。

こうして手にはお祝いにもらった分も多々あるおかげで、予定よりも随分と多い食材。

片方の手はそれでもしっかり握ったままで、イギリスはもう片方の手にはしっかりとクマを抱えていたので、それらの荷物は手提げと袋に分けて、手提げを腕にひっかけ、袋の方はその上で手でと、プロイセンが全部持つ。

おそらくかなりの重さであろうそれを片手で持ちながら、プロイセンはそれでもまるで見せびらかして回りたいのかと思うほどに、街中を歩いて回った。

それでいて、長く歩いていると言う自覚はあるのだろう。

「アルト、大丈夫か?疲れただろ。カフェで休むか」
などとイギリスを気遣うのだ。

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