「…言いたい事…全部言えたか?」
と、微笑む様子は童顔なのになんだか聖母のようで、拝みたくなった。
本当に拝みたくなった。
童顔で可愛らしくて危なっかしくて放っておけない一方で、聖母みに満ちているってなんだそれ!…と、心の中で大絶叫。
──それがギャップ萌えというものなのですよっ!
と、ドヤ顔した元弟子の声が脳内に浮かぶ。
ああ、でもわかった。本当にわかった。
これははまるわ。
今までイギリスに翻弄されてきた面々の気持ちがようやくわかった。
「なあ…俺様達これから結婚すんだけどよ……」
「……?」
唐突に真顔になったプロイセンに、イギリスはことんと小首をかしげる。
…ああ、可愛い。本当に可愛いなと思う。
これまでは良好な関係は保って来たし、実際に良い奴だとは思ったものの、そこまでは思った事はなかったのだが、なんだか今イギリスがすごく可愛らしく愛おしく思えた。
プロイセンは心の奥底から溢れ出てくる感情に逆らう事なくイギリスの手を両手で取ると
──大切にする…大切にさせてくれ…
と、恭しくそこに口づけた。
そして顔をあげて真正面からイギリスの目を捉えてつけ足す。
──あとは一つだけ約束だ。黙っていなくならねえこと。
嫌な事なら言ってくれれば直すし、譲れない事なら話しあって解決策を見つければいいのだ。
ある日、心の準備もないまま忽然と消えられるのはキツイから…それだけは勘弁してくれ…
と、言うと、イギリスは少し痛ましげにまた泣きそうな顔になったが、それでもこっくりと大きく頷いた。
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