…というか、ドイツは本当に子どもを立派な大人の国に育てあげねばならなかったので、厳しく躾けたが、すでに大人として必要な事を身につけているイギリスに関しては、ただただ甘やかしてやるだけを堪能するのも楽しそうだ。
さらに言うなら…飲み会のたびに悪友達にしつこくナンパに誘われたり絡まれたりもしなくなる。
ああ、良いかもしれない。
そんな風にわずかな時間で結論付けて、プロイセンは正面に座るイギリスの側に回ると、隣に座ってそのぴょんぴょん跳ねた金色の髪を撫でてやる。
見た感じ固そうだったが、それは意外にふわふわと柔らかくて、手に心地いい。
「お前、俺様好みの撫で心地だぜえ!
ほら、言ってみな?誰にダーリンの自慢してえんだよ?」
と、ピンポイントで訊ねてやると、ようやく答えられる答えをそこに見つけられたらしい。
イギリスはクスンクスンと鼻をすすりながらも
「…アメリカ……と、フランス?」
と、後者は少し自信なさげに首をかしげながらも答えた。
(…あ~…なるほどな)
と、それだけでプロイセンは察した。
アメリカは昔からイギリスの事が大好きだ。
イギリスもアメリカを大好きなのだが、その質が違う。
飽くまで育て子としてアメリカを好きなイギリスと、恋愛感情的な意味合いでイギリスを好きなアメリカは、どこまで行っても平行線だ。
それでも微妙な距離で流れていたのは、イギリスがアメリカがそういう意味で自分を好きだと言う事を頑なに想像だにしていなかったからである。
確かに…自分だってドイツが自分を押し倒したいと思っているなんて想像もしないしあり得ないと思う。
だって幼い頃から抱っこして添い寝して絵本を読み聞かせて寝かしつけてやった相手だ。
いくら自分より図体がでかくなろうと、育て子はどこまでも自分にとっては育て子なのである。
だからそれに関してはイギリスの立場の方を理解できるし、そういう意味でイギリスが好きだと言うアメリカは、言うなればマザコンが高じてママと結婚したいと言いだす子どもそのもので、健全な青年としてはありえないと思う。
が、イギリスがどうやらアメリカのそういう気持ちに否応なしに目を向ける事になったと言う事は……
「もしかして、アメリカがプロポーズでもしてきたのか?」
そう予測をたてて聞いてみると、案の定イギリスはコクコクと頷いた。
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