フェイク!verぷえ_第一章_3

何故こいつそんなに焦ってんだ?と思いつつ、プロイセンは根性でポーカーフェイスを保つ。
状況が読めない時にそれがわかってしまうような驚いた表情を見せるのは馬鹿だ。


その上で、あるいは状況がわかっているのかも?と、自分のそれよりもわずかばかり下にあるイギリスの目を覗き込めば、案の定全てがわかっている顔で、自分に任せろとばかりに頷いてくるので任せる事にする。


「俺の男に手ぇ出しやがったら、てめえの髭全部くまなく毟ったあとに、エッフェル塔へし折ってドーヴァー海峡に沈めるぞ?」

見た目は可愛い童顔に愛らしい笑みを浮かべながら、しかしそんな恐ろしい台詞を吐きつつ、プロイセンの腕を掴むフランスの手をひねりあげるイギリスに、フランスは怯える事もなく

「いつからっ?!!」
と、聞いてくる。

もちろん、プロイセンがこれまでイギリスと付き合ったとか肉体関係を持ったとか、そういう事実はない。

が、イギリスとかなり近しい腐れ縁として長い付き合いのフランスがあっさり信じてしまっているのは、何か冷静さを欠いているからなのだろうか…。

それともイギリスの演技力のなせる業か?

内心そんな事を考えつつ無言のプロイセンの前で、イギリスはコテンと可愛らしく小首をかしげながら、

「ん~、最初に試したのはいつだった?
ウォータールーよりは前だよな?
あの頃はもう完全にデキてたから…7年戦争の頃?」
と、プロイセンに訊ねてくる。

「試したとか言うなよ……」

どうやら自分にも考えろと言っているのだろうと理解して、プロイセンは考える時間を作ろうと、とりあえず呆れた様子を演じて見せた。

「で?あの感動的な一夜を俺の大事な女王様はガチで忘れてんのか?
それとも俺様が試されてんのか?
どっちだよ」

くしゃりと片手で自分の前髪を掴んでそう言うと、イギリスはさきほどまでフランスを脅していた現役海賊時代さながらの凶悪さから一変して、童顔を前面に世界一可愛い23歳か?と言いたくなるほど愛らしい様子でうるん!とまるい大きな目で甘えるようにプロイセンの視線を捉えて言う。

「ごめんな?すご~~くよかったのは覚えてるんだ。
お前がずっと最高の恋人であり続けているのもちゃんと覚えてる。
でもいつからって言うのは瑣末なことかなと」

さらに、今が大事だろ?と言うイギリスに、プロイセンは

「ああ、そうかよっ」
とため息。

「…怒ったか?」
と問われれば、これが本当に恋人という間柄だったらおそらく自分はそうするだろうと想像して、

「…怒ってねえよ。
1758年の4月11日。
同盟締結した日に久々に会って…俺様が一目惚れした」

と、イギリスの髪を一房取って口づけた。



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