錆兎と義勇が通っている産屋敷学園は産屋敷大学の付属校である。
とはいっても全員が希望の学部に上がれるわけではない。
学部によって取ってくれる人数は決まっている。
もちろん二人は人気芸能人なので百舞子の他にも同じ学部に行きたいという同級生は大勢いるし、余計にだ。
しかしながら、
「義勇君はどの学部に行きたいの?」
と義勇に聞くと義勇は間髪入れず
「錆兎が行く学部」
と言い、錆兎に同じ事を聞くと
「そうだな…義勇の行きたい学部かな」
と言うので、そうやって二人と同じ学部に行きたい同級生たちは右往左往することになる。
そんななか、百舞子自身も義勇と仲が良いため探りを入れられるが、実はまだ決まっていないということしか知らないので、素直にそう答えていた。
実際問題、義勇は錆兎が行く学部とは言っていたが、彼らは芸能人として生きていくし、錆兎は興味の範囲も広いので、学部選びの基準になるのは義勇が確実に入れる学部…その一点につきる。
錆兎は学年1位なのでどこでも確実に入れるし、村田は9位、百舞子は15位。
そして義勇は34位なので、義勇が行ける学部はあとの3人は行ける。
もちろん別に絶対に同じ学部に行く必要があるかというとそう言うわけではないと唯一村田は思うわけなのだが、それを口にしたら百舞子が怖いので、心の中でそっと思うにとどめていた。
とりあえず…当然ながら全学生が産屋敷大学に進むわけではなく、国立狙いや、産屋敷大学にない学部に行きたい学生など、全体の約10分の1ほどは敢えて推薦を放棄して受験をする。
つまり360人中36人強は受験。
そのうち少なく見てもだいたい半数以上は成績上位陣と考えて良い。
ということで…34位の義勇より上の順位の人間から受験組を抜かせば、だいたい義勇より上は16人ほどということになる。
「ふむ…一番多いのは経済の15人か…」
と、とある日の昼休み、そろそろ見ておけと配布された各学部の推薦枠の表を錆兎と義勇、百舞子と村田の4人で眺めている。
「じゃ、経済で?」
とお伺いを立てる村田に百舞子がむぅ~っと唸る。
「なに?百舞子、経済は嫌なの?」
と、義勇と一緒に居られればいいという一点だけで進路を選びそうな筆頭の百舞子の様子に村田が首を傾げつつ聞くと、百舞子は難しい顔のまま答えた。
「万が一…万が一、今年の上位層が全員経済に固まったらどうする?」
そうか、そっちか。
そうだよな。義勇と一緒に居られるなら…いや、もっと言うなら義勇と錆兎が一緒に居るのを見ていられるなら、経済だろうと法学だろうと…それこそ観光街づくり学部だろうと、義勇ガチ勢の百舞子が否と言うわけがなかった…と、納得する村田。
その百舞子の言葉に対して錆兎は言う。
「そうか…万が一でもそれがあったら嫌だな。
じゃあ義勇は第一希望を人数が一番多い経済、第二希望を法学にして…」
「「…それで?」」
とはもる村田と百舞子。
そんな二人に錆兎は
「俺が推薦枠捨てて、普通に外部から経済と法学を受ければ無問題だ」
と笑顔で宣言した。
「「うあ~うあ~うあああ~~~!!」」
と、それぞれ別の意味で叫ぶ二人。
「さすが錆兎君っ!!賢いっ!!天才っ!!!」
と百舞子がバチバチと拍手をする。
ずっと一緒…そう、ずっと一緒にいるためなら、学年1位はやる時はやるのだ。
そんな百舞子とは別方向に義勇のガチ勢な親友と、それに大絶賛する百舞子をよそに、村田は呆れたため息をつくのだった。
Xでずっと一緒をリクエストした者です。
返信削除ありがとございます🙇♀️🙇♀️🙇♀️すごくうれしいです。
さすが錆兎は義勇のためなら日の中水の中ですね😉
リクエストありがとうございました😊
削除錆は義の、義は錆の強火担なので😁