寮生はプリンセスがお好き10章11_リアル乙女ゲーム

…今まで女人禁制だった男子校…余裕ねっ!!

10月の後期から赴任することが決まって、アンはそれまでにJSコーポレーション側が用意してくれた資料を頭に叩き込む。

そこには学校のシステムから学生個人のことまで様々な情報が載っている。

女性の居ない環境で過ごしているお年頃の男子高校生達など、少しくらいお育ちが良くて賢かったとしてもチョロすぎるくらいである。

もちろん狙うのは校内で教師よりも権力があり、全学生達の尊敬と服従の気持ちを向けられている6つの寮の寮長達の逆ハーレムエンドだ。


高1から高3までということは、年齢にして15,6~17,8歳まで。
アンは23なのでまあ年齢的に少しでも近いあたりというと、メインターゲットは高3だろう。
公式なパートナーとして高3のどちらかの寮長をゲットして、他の5人にもかしずかれる。

一応、女性が居ないため、中学の中で一人選び出した副寮長をプリンセスとして遇しているらしいが、たかだか男子中学生などライバルになりようがない。
もし少しばかり可愛らしかったとしても懐柔するか陥れるか…百戦錬磨の社会人女であるアンの敵ではないのである。

ということで、アンは6人の寮長のキャラクタ情報を見ながら、攻略難易度を設定しつつ、攻略順を考えていく。

まず難易度が低そうなのは2年の銀竜寮の寮長ルーク。
気が強くなくて他人を強く否定したりは出来ないタイプだ。

それでいて万人に人当たり良く優しそうなので、まずこのあたりと仲良くなっておいて、他の寮長との距離を縮める手伝いをしてもらうのが良いだろう。

銀竜は…プリンセスも与しやすそうだ。

自分以外にかしずかれる存在など要らないのだが、プリンセス全員を敵に回すのは得策ではない。
純粋で優しい女性として逆ハーレムを目指す以上、ライバルになりうる人間を全て蹴落としては攻略対象にだけ媚びを売る嫌な女に思われかねない。

引き込めそうなプリンセスは引き込んで、こちらが排除しているわけではなく、悪意のないプリンセスとは仲良くできるのだという姿をみせた方がいい。

そういう意味ではプリンセスが居ようと居まいとおそらく友好的な性格の銀竜の寮長とセットの銀竜のプリンセスは、寮長が他者に好意的な態度を取ることにも慣れていそうだし、資料を見る限りは特にプライドが高かったりすることもない、プリンセスの中でも温和で柔らかい性格だということなので、引き込むには最適だ。

逆に引き込めないプリンセスは寮長を篭絡するのと並行して徹底的につぶさなければならない。
落としにくそうな寮長の場合は特に。

年齢的に一番下の学年なのでメインターゲットには考えてはいないが、落としたいランクナンバーワンにして、おそらく落とす難易度もナンバーワンの寮長…銀狼寮、ギルベルト・シュミット。

寮長はそれぞれ様々な能力に秀でているが、その中でも抜群の知能と身体能力。
それももちろん魅力的だが、綺麗な銀糸の髪の下の透き通るように白い肌に一際目立つ真紅の瞳はまるで極上のルビーのようで、整った鼻も薄めの唇も、全て完全に一部の狂いもなくあるべき場所に配置されたその美しさには本当に目をみはってしまう。

写真で見る限り、整い過ぎていて人間味を感じない。
しかしその鋭い切れ長の目が柔らかく笑みの形を描いたならば、誰でも…よしんば相手が男嫌いの女だったとしても心惹かれてしまうのではないだろうか。

そんな彼が今職務を通り越して溺愛中なのが自寮のプリンセスらしい。
それになんだか苛立ちを感じる。

彼の貴重な笑みを向けられるのは純粋で優しい異性である自分でなければならない。
絶対に……!

まあとりあえずは与しやすそうな2年から輪を広げて1年…そして最後に3年という順番だろうか…。

自分には予め与えられた情報とこれまでの知識と経験の他に、JSコーポレーションから与えられた秘密兵器もあるので、負けることなどありえない。

逆ハーレムエンド…楽しいだろうなぁ……

新学期前日、アンは寮長達の写真を抱きしめて眠りにつく。
彼ら全てに愛をささやかれている自分を夢に見ながら…












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