村田が連れてきた少年少女を預かってもらうということなので、当然錆兎にはいよろしくというわけにはいかない。
そこで、元水柱の鱗滝左近次の元には村田も同行することになった。
しかし錆兎に紹介された鱗滝左近次は奇妙な天狗の面を被っている一見変わった老人だが、村田を見下すでもなく色々親切にもてなしてくれた。
錆兎も義勇もとても慕っているようだし、鱗滝の方もたった二人きりしか生き残らなかった弟子たちをかなり大切にしているのもよくわかる。
鬼になった少女を人に戻すため、その兄が隊士になれるように稽古をつけて欲しいなどと言う無茶な要望も最終的には愛弟子の熱意に折れる形で結果的に受け入れてくれた。
とにかく炭治郎の件は当座はこの人に全てお任せしておけば大丈夫…そんな安心感を感じさせてくれる人で、それ以降は村田も折に触れて忙しさで鱗滝が住む狭霧山まで足を運ぶことが出来ない不義理を詫びる手紙と共につけとどけの菓子などを隠に頼んで届けてもらっていたが、それに対してくる礼と近況を伝える手紙では、炭治郎の育成も順調で鬼となった禰豆子も問題なく過ごしているようである。
このあたりはなんとか前世でそうであった軌道に乗せられた気がするので問題なし。
しかし不死川の兄弟子も竈門家の家族も、前世で死んでしまったあたりは今生でも死なせてしまったのは心が痛むと言えば心が痛む。
だが、錆兎を助けたことで若干前世と変わった面もあって、まずいざと言う時は錆兎も頭数として前線に出ることで各柱が就く任務が若干変わったのだろう。
上弦の弐に遭遇して致命傷を負うことになったのはカナエではなく古参の柱で、本来なら17で命を落としている彼女は相変わらず花柱として活躍している。
その影響なのか、姉の継子として花柱屋敷に居る胡蝶しのぶはなんだか前世よりハキハキと気の強い印象だ。
さらに亡くなった古参の柱が上弦の弐と出くわした時にちょうど一緒にいた炎柱の煉獄槇寿郎は命は拾ったものの肺をやられて引退。
だが、引退したことで自宅で過ごすことが多くよく看ていることができるようになったせいだろうか…
病死したはずの彼の妻がまだ生存している。
そのおかげか槇寿郎はやる気をなくすことなく、自身は戦えなくなったものの息子の教育には余念がなく、杏寿郎は前世よりもやや早く炎柱になっていた。
あとは何より村田の同期達が生きている。
14で受けた最終選別からもうすぐ8年ほど経ち、村田は来月には22になるが、今の時点で村田や錆兎達を含めて20名いた同期のうち戦死したのはなんと1名だけ。
残りの19名が生きているのだ。
前世ではこの頃にはもう村田と義勇とあと1名しか生きていなかった事を考えればすごい快挙だ。
というか、鬼殺隊全体として死者がかなり減っている気がする。
やはりとても賢明ではあるが前線に出られないお館様の代わりに前線に出て隊士の指揮をとったり鼓舞をしたり…あるいは前線の実情や情報をお館様にフィードバックしたりという役割を担う錆兎がいることが大きいのではないだろうか。
そんなわけで前世とは色々違ってきて前世でこうだったから…という形での予測はつけにくくなってきたが、変わらぬあたりでは炭治郎がそろそろ最終選別を超えて隊士になるはずだ。
…ということで…彼が正式に隊士になって少し経った頃に村田と初めて会った下弦の伍との戦いがあり、その時に鬼である禰豆子を連れていることが柱合会議で問題になる。
それが今生での炭治郎関係の山場になるだろう。
錆兎がなんとかしてくれるだろうと思わなくはないのだが、そのあたりは自分が拾った手前他人任せにしてはならない。
自分はそれに関して何が出来るだろうか…
そもそもが前世で鱗滝元水柱まで禰豆子が人を喰ったら腹を切ると言ってくれたらしいが、それは愛弟子のためだろうし、自分にそんな後ろ盾はない。
だから本当に頑張らねばならないだろう。
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