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お嬢さん達が鍛錬を終えて、帰るマコモちゃんを見送って、それぞれさっとシャワーを浴びて女子部屋でしばらくへばりつつ雑談。
ミツリちゃんはリアル格闘家?と思うくらいには元気で、同じ訓練をしていたアキちゃんはぐったり。
と、3つ仲良く並んだベッドにダウンしつつ、呻いてる。
「そう言えば音楽家様だって普通は前にでないものね」
と、ギユウちゃんが笑えば、ミツリちゃんが
「なんなら私が2人まとめて守ってあげるから大丈夫よっ」
と、力こぶを作るのが確かにパワフルなんだけど、なんだか可愛いんだよね、彼女。
そして…お嬢さん3人組はとても仲良しです。
普段からこんな感じ?喧嘩したりはしないの?
と、まあ、レポーターとして聞いておかねばと思って聞いてみると、ベッドに寝そべるアキちゃん、椅子に座ってテーブルの上のスコーンをすごい勢いで頬張っていたミツリちゃん、そして乾かしたあとの髪をせっせとブラッシングしていたギユウちゃんの3人はきょとんとした顔で顔を見合わせて、
「しないかもねー」
と、口を揃えて言う。
いわく…3人とも割合とのんびりした性格だそうで、さらにミツリちゃんの彼氏のイグロ君とギユウちゃんの彼氏のサビト君は月1で彼氏会開く仲で仲良しなんだそう。
ちなみに…アキちゃんとシエル君は最近付き合い始めたらしく、シエル君も前回の彼氏会からは参加組らしい。
『皆仲が良いんだね』って言うと、『仲良いよね』って微笑み合う図がとても可愛らしくて癒された~。
ここはコンコンキツネの楽園か花畑か?って雰囲気だよ。
自分が女子高生だった頃ってこんなにふわふわキラキラしてた記憶がないっ!
名門高校のお嬢様達と普通の公立校の女子高生の差だろうか。
だって、部屋着からしてなんだかフリフリふわふわしてて、良い匂いまでするんだよっ?!
…と、私が主張したら、お嬢様達、なんとっ!!
──彼氏会でね、彼達が作ってくれたのっ。
と、のたまわるじゃないかっ。
え?ええ??
「ちょ、ちょっと見せてもらっていい?」
と、おそるおそる近づく私に、
「どうぞ?」
とにこやかに言うミツリちゃん。
なんというか…すごい。
既成品のパーティードレスみたい。
しかも…なんだか色鮮やかなミツリちゃんの髪色そのままの色合いのリボンとかついてて、よくこんなにぴったりの色のリボン見つけたなと感心してたら、なんとイグロ君、染めたらしいよ、これ!!
──…え?どういう意味…?
と思わず聞く私にミツリちゃんはお日様のような満面の笑みで
──イグロさんは私の物を作る時はいつも布地を染めるところから始めてくれるんです。
と、すさまじい発言。
いやいやいやいや…高校生の頃からコウの浴衣とか当たり前に縫ってたフロウちゃんですらそこまでしないよ?!!
しかも、やるのが彼女じゃなくて彼氏の方?!!
──…す、すごいね、イグロさん…
と、思わず額の汗を拭き拭きそう言う私をさらに襲う衝撃の事実っ!!
──…このドレスもシエル君が生地から染めて作ってくれたものですけど…
と言うアキちゃん。
──…ね、ギユウちゃん、あれ出してくれば?!
とミツリちゃんに言われて、
──…もうすぐご飯だし、着替えないよ?
と言いつつ、やっぱりそれはたぶん…というかきっと、サビト君が布地から染めて作ったんであろうハイウェストの可愛いドレスをひらひらさせながら素直に立ち上がって、クローゼットから何か取り出すギユウちゃん。
そしてでてきたものはっ!!!!
──ちょっ!!これ、アリアのドレスっ?!!!
叫んじゃったよ。
なんとっ、ギユウちゃんが持ってきたのは皆さんご存じのエルサイアオデッセイのヒロイン、アリアのドレスだったっ!
しかも、めっちゃ再現度高すぎてっ!!!
「すごいでしょうっ?
ギユウちゃんアリアにそっくりだからって、クラスメートのモブタロウ君がサビト君におススメしてサビト君がギユウちゃんのために作ったアリアドレス!!」
と、何故かギユウちゃん本人よりテンション高めなアキちゃん。
もしかしてアリアファンかっ?!と思って聞いてみると、カイアリ推しらしい。
ここでこのドレスを着たギユウちゃんがいかに可愛いかを延々30分ほど力説され…これを着たギユウちゃんを取った写真をスマホの待ち受けにしているということで、スマホを見せられた私はアキちゃんと一緒に嬌声をあげつつのたうちまわった。
だってね、本当にアリアだよっ?!
てか、これをレジェロの宣伝に使う許可得たら、たぶん私には常に精選特級塩並みに純度の高い塩対応なユキ君が私を絶賛してコウに私のボーナスを10倍にしてやってくれと頼んでくれるんじゃないかくらいの勢いでアリアで可愛い!!!
「こ、これっ、お揃いでカインの衣装着たサビト君とかないのっ?!」
と聞いたんだけど、サビト君は自分の衣装には興味がないらしく…もったいないよね、もったいないよね、カイアリ並べたいよねっ!!と地団太を踏んでみたら、アキちゃんも大いに同意したあと、
「あっ!!シエル君にお願いしたら作ってもらえるかもっ!!」
と、思いついたようで、キラキラした目で私の手を取り、のたまわりました。
普通なら、彼氏哀れ…と同情するところだけど、シエル君、サビト君の強火担なら喜んでやるでしょう。
それが出来てカイアリの衣装のサビト君とギユウちゃんが並んだ写真が撮れたところで、それをユキ君に流してサビト君と交渉だっ!!
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