清く正しいネット恋愛のすすめ_179_男性陣は執事様

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そんな風にお嬢様達の優雅なお時間を共有させて頂いている間に、18時。
ご飯っ!そう、ご飯だよっ!!

朝ご飯は前にも書いたけどアキちゃんが仕切ってて、すごいのは、総勢8人の大家族で毎日それをやっているという彼女は、今回の合宿中も役員8人プラス私とランス君2人の計10人分の朝と昼用のお弁当をほぼ一手に引き受けてくれているスーパー母さん女子高生なところ(?)。

いや、手が足りない時はたまにマメなムラタ君やシエル君が台所を覗いて手伝ったりもしてるけど、基本アキちゃんが全部一人でやってくれてるんだっ。

その代わりに夕食は準備から片付けまで全部男性陣。

昨日ちらりと台所を覗いてみたけど、イケメン達がそれぞれにエプロンつけて鼻歌交じりに料理してる図は、まるで料理番組のようだった。


ちなみに…ヘキサゴンは全員が一緒に住んでいるんだけど、フロウちゃんちが代々男子厨房に入るべからずで、唯一入るのが許されているのはフロウちゃんの元で下積みを重ねた執事のランス君だけということで、コウ達みんな料理できるんだけど、というか、むしろ出来ないのは女の私だけなんだけど、こういう光景を見る機会がないんだよ。

だから、もうこれだけのイケメン達が一堂に会して料理をしてる図なんて圧巻過ぎて、本気で見惚れちゃいましたよ、お姉さん。


「お~い、出来たぞ、大皿プリーズ」
と片手で大きな中華鍋を振っていたテンゲン君が言えば、ス~っとキッチンのカウンターの上を滑っていく大きな皿。

「これ、味見!こんな感じでいいと思うか?」
と、丁寧にかき混ぜていたソースを小皿に移してサビト君が差し出せば、隣で野菜を切り刻んでいたイグロ君が当たり前に小皿に口をつけて、
「うむ。良いと思う。甘露寺も喜んでくれるだろう味だ」
と、何故かミツリちゃんの名を出して頷いてたり…。

そのさらに隣ではフルーツの飾り切りをしていたらしいシエル君がやり切った顔で
「うん!完璧だ!さすが僕だねっ!」
とか頷いてるし、キッチンにある大きなテーブルの上ではムラタ君が無言でせっせと大皿に盛られた料理の数々を10個のトレイに乗った旅館かホテル?って思えちゃう程度にはご立派な各種皿の上に綺麗に盛り付けていくんだよ、これが。

そして…今日も覗きに行ったわけなんだけど、今日はなぜか皆正装にエプロンで調理をしてる。

え?え?なにこれ??と不思議に思って聞くと、ムラタ君曰く、
──ランスさんから正装でも不慮の事態に対応できるように寝る時以外はタキシードで過ごせって言われてるんですよ。
とのこと。

ランスくん~~~!!!!
と、澄まし顔でせっせと料理を作っている男性陣をキッチンの端で監視しているランス君に視線を向けると、彼はシレっと
──動きにくい格好で守れてこその護身術でしょ。俺も19で社長様から奥様の護衛を命じられて以来、寝る時以外はずっとタキシードだよ?
と、のたまわりました。


「ま、いんじゃねっ?!
俺はほら、神だから、タキシードなんて部屋着と同じだしな?」
と、さすがに上着は脱いでるけど普通にシャツの袖をまくって、相変わらずフライパンをふるうテンゲン君。

本人の言葉通り全く違和感がないっ。


「うーん…剣道の防具とか言われないだけマシかもしれんが、動きにくいというより、汚すのが怖いな」
と、サビト君はそう言いつつ、それでもやっぱり普通にお玉をにぎってて、その隣ではイグロ君が
「汚れた格好で甘露寺の前に出るなんて万死に値するから、俺は常に料理をしていても服を汚すなんてことはないから問題はない」
と、真顔で言い切っているのが、なんだか怖い。

「タキシード、いいじゃないかっ!
正装だとよりノーブルな雰囲気が出るし、アキ君も褒めてくれるだろうしねっ」
と、1人積極的にその服装を楽しみながら、スプーンでソースを使って料理の皿に綺麗な模様を描いていくシエル君は、もうなんというか、家庭料理じゃない何かを作成してる。


コンコンキツネってレジェロ内でも普通じゃない感じだったんだけど、こうしてみると、リアルでもちょっと違うイケメンと美少女のお坊ちゃまお嬢様で構成される集団だった。

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