清く正しいネット恋愛のすすめ_176_コンコンキツネ潜入日記2

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皆さん、こんにちは。
コンコンキツネ本拠地潜入中のアオイだよっ。

私がこちらにお邪魔した次の日はコンコンキツネの皆様の学校の創立記念日ということで、午後から訓練という事だったの。

ここではご飯は料理が得意な子達が作ってくれるということで、朝ご飯は音楽家様なアキちゃんが作ってくれた焼き魚にほうれん草の白和え、卵焼き、わかめと豆腐の味噌汁と言う、まるでお母さんのご飯のような和食。

美味しい。

私はずっとヘキサゴン皆で住んでいて、社長夫人なフロウちゃんがご飯作ってくれるから、実は全くと言っていいくらい料理が出来ない齢28歳。

一回りも年下な子にお母さんみ感じてる場合じゃないと思いつつも、割烹着姿でギユウちゃんの魚を綺麗にほぐしてあげながら、しゃもじ片手に皆にご飯のお代わりを聞いて回る音楽家様にそっと茶碗を差し出してたりする。


なんというか…今回集まった中で本当に末っ子なのってギユウちゃんだけらしくて、食事時はギユウちゃんの左右でアキちゃんとサビト君が世話を焼きまくってるんだよね。

確かにレジェロ内でもヒーラーって後方で仕切っている軍師タイプと皆にお守りされているお姫様タイプが多いけど、ギユウちゃんは圧倒的に後者なお姫様な感じだもんね。


護身術指南でも、そんな感じだった。

朝ご飯を終えたらムラタ君とサビト君がちゃちゃっと使った食器を全部洗っている間に、男女に分かれてお洗濯。

その時も女性組はアキちゃんとミツリちゃんが色物や乾燥機かけて良い物悪い物を手早く分けて、いくつもある洗濯機に放り込んだあと、ギユウちゃんに

「そう、洗剤をキャップに1杯ね」
などと、幼女に言うようにお手伝いをさせてる感じ。

まあ…幼女のようと言ったけど、私も高校生の頃はギユウちゃんレベルだったし、お姉ちゃんズがしっかりしてるだけかも。


こうして洗濯機を回している間、縁側に腰を掛けておしゃべりする3人。
アキちゃんが運んできたお盆にはお茶と大きめの卵焼きとお漬物。

「アオイさんも一緒にどうです?」
と、ミツリちゃんが手招きをしてくれるので行ってくるっ!


「アキちゃんの卵焼き、すごく美味しいの」
と、お手拭きで手を拭いた後に手で卵焼きを取って頬張るギユウちゃん。

むふふ、と、嬉しそうに笑う彼女にアキちゃんが
「ギユウちゃんが好きな甘めにしてみたの」
と、ニコニコと言う。

「これは女子の特権ね」
と、ちびちび食べるギユウちゃんの隣でもりもり食べるミツリちゃん。

その言葉には、
「うん…実はシエル君※にはこっそり差し入れしてきたけど…」
と、袖口で顔を隠すアキちゃん。
なんか新妻みたいで微笑ましいというか、すでに良い奥さんという感じです。
※実際にはシエル君の本名が入るんだけど、今回実名は避けようかと

それを私が口にするとさらに照れるアキちゃん。

するとそこでギユウちゃんが負けじと
「こ、このね、ぬか漬けっ、うちのぬか床をサビトに分けてあげてつけられたものなんだよっ」
と、キュウリにナスに人参と、色々切ってよそられたぬか漬けの皿を指さしました。

「すごいね。
これ、自分でつけたの?」
と、私も楊枝でキュウリをひと切れ頂くと、程よい酸味と塩味、そしてどこか深いコクを感じる絶品で、秘かにぬかを分けてもらって持ち帰ったらうちでもフロウちゃんがつけてくれるかな…などと思った美味さ。

そんな感心しきった私から漏れた感嘆の声に、ギユウちゃんは
「お婆ちゃんの家でつけてたぬか床を姉さんがもらってきてずっとつけてて、さらにそれをサビトに分けて、これはサビトが漬けてるんだよ。
あのね、人参が美味しいんだよ、私、人参が好きなの」
と、説明をしつつ勧めてくれるので、人参も頂いてみる。

…美味しい……
これはあとでサビト君と交渉だ。

…ってか、ギユウちゃんじゃなくサビト君が漬けてるのか。
すごいな。ぬか漬け漬ける男子高校生。


そんなサビト君に感心する私の横で

…ぬか漬けも始めないと…!サビト君には負けられない!
と、何故か呟くアキちゃん。

いやいや、あなた彼氏いるのでは?
てか、何にライバル心燃やしてるん?

…と、驚く私に、

「推しと彼氏は別なんです。
次元が違うと言うか…」
と、きっぱり。

コンコンキツネの中で一番常識人っぽい彼女の言葉に、私はヘキサゴン1の常識人のユキ君の片鱗を見た気がしたよ…。



「参考までに…どう違うの?」
と、聞いてみると、彼女は、そうですねぇ…と少し考えこむ。

そして答え。

「推しの幸せは必ずしも自分が存在する必要はないんです。
自分とは切り離された世界でも推しが幸せなら私も幸せ。
彼氏というか…パートナーの幸せは一緒に味わう幸せですね。
自分が全く関係もなく自分を認知されることもなくとも、自分が居ない所の幸せでも幸せだと思うのが推しの幸せ、自分と関係があって自分が認知されていて自分が居る所での幸せが彼氏との幸せです」

すごいっ!!
なんというか…哲学があるんだね。
確かにユキ君もコウに対してはそんな感じだし。


「でも…アキちゃんがギユウちゃんに対してそんなんだと、彼氏のシエル君は妬かないの?」
と、無関係な人間が理屈としては理解するけど、彼氏としてはどうなの、それ?と心配してみると、アキちゃんはさらにニッコリ。

「シエル君はシエル君でサビト君の強火担なので、無問題です」
と、のたまわりましたよ。


「え~っと…つまり…シエル君とアキちゃんはカップルで、それぞれサビト君とギユウちゃんのカップル推しということで?」

おそるおそる聞いてみると、

「ええ、その通りです!」
と、大きく頷き……。


マジかっ。マコモちゃんの最初のアレは冗談じゃなかったんだね。

ユキ君がダブルで居るようなものか…と思うと、なかなか恐ろしいものを感じる、コンコンキツネの主要メンバー。

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