「とりあえず…目の前にいるうちに、一緒にinしてフレ登録しよう!」
言い出したのは義勇で、
「それいいわねっ!」
とそれに蜜璃も同意して、錆兎が用意したノートPC2台を蜜璃と亜紀が、義勇は自宅から持ち込んだ自分のノートPCを、それぞれ立ち上げる。
3人ともお菓子や飲み物を片手にはしゃぎながら、すでにインストールしてあるレジェロを立ち上げて、自キャラにご対面する。
「あ、水の姫だ~」
と、隣の義勇のキャラを見て、そう言う亜紀に義勇が不思議そうに
「…水の…姫?」
と、コテンと小首をかしげる。
すると、亜紀がうんうんと頷いて、
「ギユウちゃんのギルドはすごく有名な黒魔のマコモちゃんのギルドだし、レジェロ婚してる錆兎君のキャラのサビト君も鯖で1,2位を争うくらいの神ナイトだからね。
そのギルドの姫で、サビト君と一緒にいるから、実はギユウちゃんも有名なんだよ。
ギユウちゃんの着てるドレス、夏前にあったイベントの課金ガチャの大当たり商品で、今はもう手に入らないし、知ってる人は多いけど持ってる人少ないんだ。
で、ほら、流れる水を思わせるようなドレス着てるギルドの姫ってことで、一部で"水の姫"って呼ばれてるの」
と、教えてくれて、義勇は、うああぁぁ…と驚いた。
ギルマスのマコモと彼氏のサビトが有名なのは知っていたが、自分まで有名になっていたのか…。
それは知らなかった。
嬉しくもあるが恥ずかしくもあり、反応に困ってワタワタしていると、今度は蜜璃がひょいっと亜紀のPCを覗いて、
「あ~!亜紀ちゃん、音楽家様だったのねっ!!」
と、歓声をあげた。
それに義勇もつられて亜紀のPCを覗き込むと、そこには竪琴を抱えた少女キャラ。
「あ、ほんとだっ!すごいねっ!!」
と、こちらも歓声をあげる。
音楽家と言うのは楽器で色々な効果のある曲を奏でてパーティメンバーの能力を底上げするクラスなのだが、通常攻撃の手段も楽器で音符を飛ばすだけで、ソロ性能が著しく低いため育てるのが大変で、おそらくレジェロ内のジョブで1,2番くらいの需要があるものの、高レベルのキャラの人数の少なさは、おそらくダントツ1番だ。
そんな二人の反応に、亜紀はテレテレしながら、
「今でこそ音楽家様とか言われて、色々なイベントにお呼ばれするけど、元々はそんなすごいものじゃないの。
私ね、ただ、攻撃するのに竪琴から音符を飛ばすのとか、可愛いなぁって思って選んだだけだから。
レジェロの初期組なんだけど、当時は今みたいに音楽家様とか言われてパーティーに引っ張り凧とかいうこともなくてね、逆に攻撃力ないし、野山で一人でポロン、ポロンってしながら、ま~ったりレベル上げしてたんだ」
などと、実におっとりと彼女らしい言葉が返って来て、義勇と蜜璃はなんだか微笑ましくなって笑みを浮かべる。
「とにかくフレンド登録しましょうっ!」
と言う蜜璃の提案で3人は競売前で待ち合わせてフレンド登録。
ギユウがログインしてきたことにギルドメンバーが気づいて、裏で交わされる挨拶にギユウが答えていると、マコモが
『ギユウちゃん、今時間あるかな?
私、行きたいスペシャルエリアがあってね。
2PTのアライアンス組むんだけど、来てもらえる?
タンクはサビトはなんだか忙しいみたいだけど、1人はキョウ君に頼んでくれて、もう一人はタンクのフレに頼んだし、ヒーラーは一人はシノブちゃんが学者だから来てくれるから、もう一人欲しいんだよね。
あとは…本当は音楽家様欲しいとこだけど、まあ、急に見つけるの無理だし、私とサネミンを含めて4人DPSで埋めるかなと。
あ、ミツリちゃんもいるね。
なら、ミツリちゃんも来る?
今日はなんだかサビトとイグロ君で珍しく夜通しかけた彼氏会らしいから』
そんな誘いが来たところで、義勇と蜜璃が顔を見合わせて、双方、ガシっと亜紀の腕を掴む。
「亜紀ちゃん、行かない?!」
「亜紀ちゃんが来てくれたら…マコモちゃん喜んでくれると思う」
と、蜜璃と義勇にそれぞれ言われて、亜紀は戸惑いながらも
「え?え?
あのマコモさんのイベに?
私なんかで良いのかな…」
と言うが、
「「良くないわけないじゃないっ!」」
と二人は大きく頷いて、義勇が完全に返事を待たずに
『マコモちゃんっ!お友達の音楽家さん、一緒で良い?
今3人で居るから、その子も一緒で良いなら行くけど…』
と、打診する。
それにマコモからは案の定
『マジっ?!ギユウちゃん、偉いっ!でかした!!さすがうちのギルドの姫っ!!』
と、食いつき気味の言葉が返って来て、結局、亜紀と蜜璃と3人でマコモに合流することになった。
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