続聖夜の贈り物_11章16

「俺に判断を任せてもらっていいのか?」
「ええ、もちろんです」
「ならば選択肢は一つだ。4つの石の力を相殺させて宝珠自体を消し去る」


「ええ??!!!」
驚く一同にスコットは淡々と言葉を続ける。

「確かに4大元素の力を無条件に操れれば強大な力になるかもしれん。
だがその力も知識も思想も持たない人間の手に渡れば世界を滅ぼしかねん。
ゆえにその知識を持つ我々が守人として存在していたわけだが……
正直そんなものなくても人は自らの力と知恵でどうとでも生きて行ける。
なのにこれのために多くが縛られ、時に悲しい選択も迫られ、時に命を奪われているのだ。
ない方がいいと思わんか?」

「思います!」
マシューが大きくうなづいた。

「僕…石が身体の中にあった時は不死身でしたけど…今の有限の身体の方が幸せです」

「そうか…」
その言葉にスコットの眼が少し穏やかに細められる。



「どうだ?俺に選択を任せるということは、そういう事になるのだが?」

「うん、いいかもね」
まずフェリシアーノが口を開いた。

「結局さ、たぶんこの島って俺達が旅立つ前よりは平和になると思うんだ。
それは石の力じゃなくてさ、アーサーのお兄さんが東の国の有力者で…北の国には俺達を船で大陸に送ってくれたフランシスさんがいて…
南のインディさんもなんだか仲良くしてくれそうだし…
結局人のつながりなんだよね。
そうやってコツコツ築いてきたものってさ、人から人へ受け継がれて、結局特別な力を持つ何かよりも大きな力になるんじゃないかな」

「ま、そういうことだな」
ルートもそれに同意し、
「マシューも幸せになれたみたいだしな」
とロヴィーノがうなづく。

「あたしは…元々宝玉に興味あったわけじゃないし…」

「俺はアーサーがいれば別になんでもいいぜ?
ま、君子危うきに近寄らずって事だなっ」
と、最後にギルベルトが言って全員の意見がでたところで

「じゃあそういう事で決まりだな。支度をしよう」
と、スコットはローブを翻して城の中に戻って行った。


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