続聖夜の贈り物_11章6

「お前…相手は女の子だぞっ!」
慌てて止めるロマーノを制してギルベルトはナターリヤに二コリと笑みを向けた。

「女の子だって思わなくてもいいんだろ?」
「無論だ!」
うなづくナターリヤ。

「そ、そんなのダメなんだぞ!ナターリヤが戦うくらいだったら俺が戦うんだぞ!」
そこでアルも慌てて割って入るが、ナターリヤにきっぱりと断言される。

「お前…一度こいつに負けたんだろう?」
容赦ない言葉に一瞬ひるみそうになりつつも
「そうだけど…でもリベンジなんだぞ!」
と、めげずに主張するアル。

「じゃあさ、こうしたら?お互い2対2で戦うっ。それならいいでしょ?」
にこやかに言うフェリシアーノに
「お前なぁ…何煽ってんだよ、止めろよ…」
とがっくり肩を落とすロマーノ。

「え~、だって戦わないと諦めそうにないし、かといって女の子一人でギルベルト兄ちゃんと戦わせるなんて可哀想じゃん」
「ああ…そっちか…」
フェリシアーノの補足にロマーノも納得した。

「とりあえず…俺らが勝ったらそうだな…もう二度と俺らに構わないでくれ」
「いいだろう」
ギルベルトが出した条件にナターリヤがうなづく。

「じゃ、そう言う事で。こっちはもう決定として…そっちはあと誰が出るんだい?」
「ああ…そうだなぁ…ルッツかエリザ?」
アルの問いにチラリと後ろを振り向くギルベルト。
他はどう考えても戦力外だとその二人に声をかけた。

「あ~、それならあたしじゃない?
ギルとは傭兵部隊で何度も共闘してるし、慣れてた方がいいでしょ?」
実戦久々だけどね…と呟きながらも名乗りをあげるエリザだったが、そこで後ろから待ったがかかった。

「その子、魔術師だろ?なら俺がでる」
「やめろ~~!!そのくらいなら俺様が一人で二人相手するっ」
アーサーの言葉にギルベルトが叫んだ。

「そうだぞ!君いつも森で刺繍とか産業廃棄物とか作ってるだけで戦った事なんかないだろっ?」
と、アルも止める。

珍しく意見を同じくする二人にアーサーはぷ~と膨れた。

「俺だって一応カークランドの魔術師で、戦場でた経験くらいあるんだぞっ」
「あ~、はいはい。じゃがいも作りの魔法は一流なのは認めてやる」
と、思い切り本気にしていないギルベルト。

「とにかく俺がでるからっ!いいだろ?ロヴィ?」
「なんで俺に振るんだよ。お前関わるとギルマジ怖いんだからやめてくれ!」
「…お前は…出ないよな?」
「………出ません…」

「ロヴィ、何アルトに負けてんだよ?」
「おまっ、だってこいつ腐ってもカークランドだぞっ!
本気で怒らせたらカークランド家のお兄様達に殺されるぞ!
とにかく俺はでねえっ!でねえからなっ!」

「じゃ、俺~♪」
とぶんぶん手を振るフェリシアーノに、ルートはハ~ッと大きく肩を落とした。

「それこそお前が出て何やるんだ?」
「え~?俺石の力あるし…」
「移動しかできんのに…か?」
「神速で逃げられるよっ!」
「いや…逃げてどうするんだ…」

そんなやりとりの末
「も…いい。わかった。俺様が守るから。でも前に出んなよ?ちゃんと下がってろ」
と、ギルベルトは諦めた。

おそらくアーサーに執着しているアルはアーサーを狙ってはこないだろうし、宝玉を完成させたいナターリヤも同じくだろう。
ようは…自分が倒れなければ良い話だ。

そして
「アルトゥールを盾にするなんて卑怯だぞ!」
とぽこぽこ頭から湯気を出して怒るアルと

「盾になんかしねえよっ。
俺だって嫌だけど本人出る言うんだからしゃあねえだろ」
と、すでに口喧嘩は始めながら外へ出る。



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