翌日、ギルベルト、フェリシアーノ、エリザの3人は朝からキッチンへこもってランチボックス作りに励み、アーサー、ルート、ロヴィーノ、マシューを加えた7人で街外れの丘へピクニックへ。
ちょうど咲き誇るシロツメクサで花冠を作るアーサー、フェリシアーノ、マシュー。
それに飽きたら小川で水遊びに興じたりと、それぞれ楽しく過ごしてのお昼時。
まずランチボックスを開けたのはフェリシアーノだ。
ハート型のパンの中にピンク色のハムが見えるサンドイッチに薄いピンクのハート型のリンゴのコンポート。卵焼きはさすがに黄色いものの、やっぱりハート型。もう色々がハートで、それをニコニコとルートに差し出す。
「可愛いのはわかったけど…それじゃあ腹ふくれねえよ…」
と、一部が思っていたであろう事を遠慮なく代弁するロヴィーノ。
「あ~、それならあたしの食べれば?」
と、エリザが取りだすランチは色々な具材の入ったエンパナーダ、ポテトサラダにキッシュ、ローストポークに各種フルーツまで。
「へえ~うまそうだな」
と、ロヴィーノは目を細めた。
そこで、
「おい、俺様のランチ、見て驚くなよっ!」
と最後に取りだしたのはギルベルト。
「どうせあげた芋とか茹でたヴルストだろ?」
と言うロヴィーノに、ちげーよ、と返したギルベルトが掲げたボックスの中身を見て、マシューとフェリシアーノ、そしてアーサーが歓声をあげた。
「なにこれなにこれ?!ギルすご~~い!!!」
歓声を上げるフェリシアーノ。
「うん、可愛いな」
「可愛いですぅ~」
と、アーサーとマシューも目を輝かせるそのランチボックスの中身は、確かにウィンナーが中心なわけだが…花やタコ、ウサギにヒヨコと、見事な飾り切りのオンパレードだ。
「お前…無駄に器用だな」
とロヴィーノも覗きこんで、言葉は悪いものの感嘆の声をあげ、ミニトマトとウズラ卵でできたキノコをひょいっとつまんで口に放り込む。
全員がその可愛らしいランチボックスに注目をしている中で、背にした木の影からソロ~っと手が伸びてきた事に気付いたのはマシューだった。
「君はいきなり現れたと思ったら何してんのさっ?!」
ピシっと珍しく強気に伸びてきた手を叩く。
へ?全員が普段のマシューらしからぬ強気な行動に注目する中、
「君がおっかけてくるからわざわざ迎えにきてあげたんだぞっ。
パンの一つくらいいいじゃないかっ」
と、悪びれず木の影から出てくるのはマシューくらいの小さな子供。
マシューより少し濃い金色の髪と空色の瞳の可愛い子供である。
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