「殺してもいいっ!」
と、それを追うように身を乗り出した。
もう国体じゃねえからな。死んだって誰に迷惑をかけるわけでもない。
俺様がイギリスから離れる時は俺様が死ぬときだ。
俺様自身の心と心臓に誓ったんだから、誓いを破った時点で俺様の命なんてなんの価値もないゴミ屑だからな」
──俺様、今までイギリスと敵対することはあっても、騙した事はねえだろ
と、言われて考えてみれば確かにそのとおりだと思う。
プロイセンはいつでもイギリスには誠実だった。
影でも表でもイギリスに対するからかいや中傷の言葉を口にすることはなかったし、約束はいつでも頑ななまでに律儀に守る男だった。
──…おれは……
──…うん…
──…もう…傷つくのは嫌なんだ……
──…うん。そうだよな。だから俺様は裏切らねえし、お前を傷つける全てのものからお前を守るから…
──………
──………
──………うん……
いつだって欲しかった言葉を眼の前に差し出されて、何故拒絶しきれるだろうか…
結局、振り払ったりできやしないのだ。
プロイセンの言葉に結局イギリスが小さくうなずくと、プロイセンは
「今日から俺様はお前だけの騎士だ。
元軍国プロイセン様が守ってるんだ。これからは誰にもお前を傷つけさせやしねえ」
と、イギリスを抱きしめた。
プロイセンはそうしてしばらくそのまま抱きしめていたが、
「…というわけでな……」
と、イギリスを抱きしめる手を少し緩めて、にこりと笑った。
「俺様ちょっとこれから宣戦布告してくっから、ここで待っててもらっていいか?
本でもテレビでもネットでも、なんでも適当に見ててもらっていいから。
終わったらついでに食いもん買ってくるわ」
と、言いながら立ち上がる。
「…宣戦…布告?」
イギリスがコテンと首をかしげて見上げると、
「おう。俺様の大切なお姫さんにかけられた呪いを粉砕するためにな」
と、まるで戦地に向かう時のような、ひどく厳しい顔で立ち上がった。
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