とある白姫の誕生秘話──吐露13

さて…とりあえず籍を入れると言う話をして結婚が嫌だではなく離婚が嫌だという返答が返ってくるということは、どうやら自分といる事が嫌なわけではないという事は確定ということだ。

だいぶ軽くなった心。
おかげで理性と知性が脳内で復活し始めた。

「確かに…紙一枚だよなぁ…じゃあ、一生変わらないモンなら良いか」

ギルベルトはアーサーの肩口に顎を預けた状態でその耳元で笑みとともにそう言うと、アーサーの両肩に手を置いて少し身体を放した。

急に離れた距離に不思議そうに見あげてくる涙でとろけたメロンキャンディのような瞳。
ついで、ぽかんとかすかに開いた桜色の唇に視線を移すと、ギルベルトは指先でその下の小さな顎を持ちあげた。

そしてそのままもう片方の手をアーサーの細い背に回すと、身体を引き寄せる。

ふわりと触れる唇と唇。
そのまま深く暴いてしまいたい気に駆られるが、今の段階でそれをすれば怯えられかねないと、理性を総動員して唇を放した。

まだ何が起きたかわかってませんと丸分かりな様子で固まっているアーサーに、そこで言ってやる。

「俺様な、“そういうこと”は本当に惚れた奴としかしないって決めてたからな。
正真正銘、初めてのマウストゥマウスのキスだ。
な?これならアルトが何か失くすことも今後なかったことにも絶対にならないだろ?」

だから信じろ…と、続けると目の前で見る見る間に赤く染まって行く顔。

その様子があまりに可愛らしくて、ギルベルトがまたアーサーを抱き寄せ

──これで足りないなら、なんなら抱くか?
と、耳元で囁くと、手の中の天使は声をあげて泣きだした。



…え?えええ???嫌だった?!!!!

と、その反応にギルベルトが焦るも、彼の口から出て来たのは、

──ぎるっ…全部知ったら絶対後悔するぞっ!ばかあぁ!!!

…で、どうやらキスが嫌だったのではないらしいことにホッとする。
アーサーに関することだともう、メンタルの浮き沈みが我ながらジェットコースター並みだ。


「全部ってなんだよ…後悔しねえよ」

と、くしゃりとギルベルトが自分の前髪を掴んでため息をつくと、アーサーは一瞬少し躊躇して、そしてひどく思い詰めた様子で上目遣いにギルベルトを睨んだ。

「最初に約束して欲しい」
と、悲しそうな目で言うので、

「なにをだ?」
と問うと、アーサーはまたポロリと涙をこぼして

「俺のこと…いやになると思うけど…腹がたって嫌いになっても色々言わないで、黙って去ってほしい。
怒らないでっていうのは勝手だと思ってるけど…」
と、うつむく。

そんな姿が可哀想で愛おしくて、言いたい事は色々あるが、とりあえずは

「さっきも言った通り、俺様がアルトを嫌うなんてありえねえけど…万が一があったらそうする。
約束する。だから話せ」

と、先をうながすために、その要求を了承した。



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