とある白姫の誕生秘話──悩めるイケメンに悩んだ結果1

俺…リアルで甘やかされ倒される生活手に入れてるじゃないか…

2日目の夜、眠る前に自覚した事実…
その日はそのまま眠ってしまったが、朝起きて寝ざめすっきり。
頭がクリアになったところで、寝入りばなに思った事を思い出した。


そうだっ!オンラインゲームをやめれば全ては解決じゃないかっ!!


何故そんな簡単な事に気づかなかったのか…。

落ちついてみれば、普通に考えてアーサー自身が言わなければ、アーサーがアリアだなんて課長補佐が気づくわけはないのだ。

オンラインゲーム内の少女アリアと現実の普通の新米リーマンのアーサーを結び付けるものなんて、何もないはずだ。
このままログインをやめてしまえば、証拠は残らない。

元々は“ネットでくらい”甘やかされる生活がしてみたいと始めたゲームだ。
現実でそれが手に入ったなら、別に続けなくても良いのではないだろうか。

もちろん長くやっていたのでそれなりに楽しいし残念ではあるが、リアルで人生を終わらせてまでやりたいわけではない。


課長補佐することになった家は4LDKの一軒家。
個室のうち一部屋を私室としてもらっていて、そこに下の段にデスクを置いて使っているロフトベッドを運びこんだので、そこでやればバレないかもしれないが、一緒に暮らしている以上、万が一のことがあるかもしれないし、それは避けたい。

実は胃痙攣で課長補佐の家に3日間お世話になった時に物理的にログインできなかったので、色々追求されたりは嫌だしと、そのまま連絡なしになし崩し的にログインをやめていた。

それもあって、今更あれからやめる理由を聞かれたりしてボロが出るよりはこのままフェードアウトが正しい気がしてくる。

不義理で申し訳ないなと思う一方で、たかだか遊びなのだからと思う自分もいた。
というか…あのギルが課長補佐だと知ってしまった時点で、素知らぬふりでアリアとして一緒にいるのも、それはそれで不義理なのではないだろうか。

そんな諸々の要素を全て加味して考えると、もう二度とアリアを使わない、それが一番良いだろうという結論に達して、アーサーはアリアを封印する決意を固めたのであった。



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