というわけで、これから3日間が勝負である。
と言っても、こちとら技術営業のような仕事に関しても高い評価を得ている人間なわけだから負ける気はしないとギルベルトは思う。
美味しく消化に良い食事に飲み物。
心地よい寝巻にベッド。
起きている時は興味のありそうな知識を披露してやったり、聞きたがるようなら自分のことを話してみたり…そして食後、腹が膨れたためか少しうとうとしてきたら、病人なのだから眠ってしまえと頭をなでながら眠りの方向に促した。
大きすぎるパジャマを着て大きなベッドに埋もれるように眠っている様子は控えめに言っても天使のように愛らしい。
アーサーが眠っている間もその寝顔を堪能しながら、ギルベルトはふと思った。
ああ、2人で住むなら家買ってもいいな…と。
そう言えば最近、本田相手にもそんな話をした気がする。
一緒に住む相手はアーサーではなくお姫さんだったが……
どうやら自分は好ましい相手がいると、一緒に住む家を買いたくなる性分らしい…と、ギルベルトは今更ながらに気づいた。
そして思い出す。
最後に会った時、お姫さんも体調が悪いと即落ちをしていたが、あれから良くなったのだろうか…
ちらりとベッドラックに視線を向ける。
そこには何冊かの愛読書の横に、機能性を重視したシンプルな銀色のデジタル時計。
それで今現在がまだ昼休憩の時間であることを確認の上、電話をかける。
もちろん本田の携帯にだ。
数回のコール音のあと電話がつながると、
『ああ、ギルベルト君、カークランドさんの容態はいかがですか?』
と、開口一番に聞いてくる本田。
アーサーをこちらに呼んですぐ、一応、ストレス性の胃痙攣で、事情を聞きつつ3日ほど自分の家で面倒を見ると言う事はメールで連絡しておいたが、その後、特にこれといった変化もなかったのもあり連絡をいれていなかったので、心配をしていたのだろう。
「ああ、一応いまは痛みもねえみたいだし、飯食って寝てる。
事情聞いたらなんだかリアルでストーカーとか無言電話とかがあるらしくてな。
入社より前からっつ~ことだから会社関係じゃないっぽいな。
でもなんていうか…アルト、まじほそっこくて小さく見えるし、童顔で可愛い顔してっからな。
変態野郎が目をつけたとしても不思議はないっつ~か…危ねえ気すんだよな。
だから俺様いっそ、3日間過ぎても一緒に暮らそうかなぁとか思い始めてんだけど…」
とギルベルトが言うと、電話の向こうで本田が吹きだした。
『ほんっとにあなたは面倒見が良いのを宇宙の彼方まで突き抜けた兄気質ですね。
アリアさんのことはどうしたんですか?
家買って一緒に住みたいとか言ってませんでしたっけ?』
「あ~、それなんだけどよ…」
と、ちょうどよく出された名前に、ギルベルトは本題に移った。
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