待ち合わせの場所に来たミアはネットのままの雰囲気のリアルお嬢様だったらしい。
運転手付きの見るからに高級車とわかる車の後部座席に彼女と並んで乗せられて、どこともわからぬ場所を進んでいる。
わたわたと焦るアーサーを見て、ミアはふふっと可愛らしく笑う。
「大丈夫!単におでかけ前にお着替えしに私の自宅に行くだけです」
え?ええ??いきなり自宅?!!!
言われてアーサーはますます焦るが、ミアは相変わらずの笑顔で
「一緒におでかけするのにね、ちょっと着てみて欲しいお洋服があるんです♪」
というのみだ。
これはもう従うしかないんだろうな…と、半ば諦めてアーサーが深く座席に座って背もたれに背を預けると、ミアはさらに
「その時にね、ミアのとっておきの秘密を教えてあげちゃいますよ?」
と、少しいたずらっぽい目で楽しげに微笑んだ。
こうして車が最終的に着いたのは、驚くほど立派な門構えの洋館である。
まるでドラマのような館で、大きな扉の前にはなんと使用人までいる。
「おかえりなさいませ」
と、ドアの前に車が止まると、当たり前に使用人の手で開かれる扉。
「ただいま。
着替えたらすぐ出かけるから、車はこのまま待たせておいて」
と、ミアが命じると、
「かしこまりました」
と、初老の使用人は恭しく礼をして応じる。
まさか…本当に本当にお姫様なのか……
ミアの秘密というのはその事なのか??!!
そんな事を思いながらも、ミアに手を引かれて館の中に。
館の中も驚くほど立派で、落ちついたベージュのタイルの上に赤い絨毯の敷いてある廊下を通って、個人宅だと言うのに何故かあるエレベータまで辿りつく間にも何人かの使用人とスレ違ってお辞儀をされる。
アーサーの父親の一族も皆実業家で裕福な方ではあると思うのだが、ミアの自宅は規模が違う気がした。
ひどく落ちつかない気分でひたすらミアに着いていって辿りついた2階の1室。
全体的に淡いピンクの室内。
入ってすぐ短い廊下があって、それを抜けると左側に小さめのカウンターキッチン。
右手はリビングらしく、可愛らしい白のローテーブルを挟んでソファが置いてある。
その向こうには螺旋階段。
家の中にある個人の部屋と言うより、このスペース自体がオシャレなマンションのようだと感心しつつその階段に視線を向けていると、
「この階段の上はね、寝室。
ソファに座ってて。ちょっと支度してくるから」
と、ミアは言いおいて、階段を駆け上がって行った。
「本当のお姫様に出会うなんて事、あるんだなぁ…」
なんだか全身から力が抜けきって、やや呆然としながらソファにへたりこむアーサー。
しかし本当に驚くのはここからなのを、彼はまだ知らない。
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