と言うキロの言葉に、それまでぼ~っと観賞モードに入っていたギルは、即座に臨戦状態に入った。
お姫さんに粘着する奴は撃退しなければならない!
それはギルベルトの中の不文律だ。
ミアの前にも何代か“妹”がいたけど、たぶん“5指に入る妹”以上行ったのはミアだけかな』
と、さらにキロはありがたくない情報まで提供してくれるので、なおさら気が揉める。
こうして始まる前にすでに不穏な空気で満ちる中、とりあえず今いるメンバーだけでも集まろうかと言う事になって顔を合わせることになった。
するとセイジの方はギルのことは記憶になくともキロのことは記憶していたらしい。
「お前…ミアの取り巻きの1人じゃないか。
何故こんなところにいるんだっ」
と、開口一番そう言ってキロの前に立つ。
明らかに不穏な空気。
敵対心むき出しのセイジにキロはキロで
「ミアの“今の”親しい友人ね。
随分前に避けられたあんたは知らないかもしれないけど、あ~ちゃんは今のミアの“特別お気に入りの”お友達。
で、そのあ~ちゃんを大切にお守りしてるギルと俺は仲良しなわけだ。
俺が今ここにいるのはギルの友人だからなわけですよ?」
と、こちらもギスギス感満載で言いかえす。
張りつめる空気にお姫さんがオロオロしているのを感じる。
普段なら仲裁にはいるところなのだが、今回に限ってはここでビシリ!と言っておきたいところだ。
「あ~…まあ俺様はお姫さん以外の人間関係に関してはどうでも良いわけなんだけどな。
お姫さんに危害を加えたり しつこくつきまとったりがあったら、介入させてもらうんで、よろしくな」
と、お姫さんを引き寄せた。
「え?え?あのっ…あのっ、セイジさんもキロ君もギルさんも落ちつきましょう?
他の野良の方ももうじきいらっしゃるので、皆さん仲良く……」
「ああ、ごめんな、お姫さん。そんなに困んないでくれ。
俺様、別に周りに喧嘩売りてえわけじゃなくて、お姫さん、いつも最終的に困って泣きながら俺様んとこ駆け込んで来るからな。
泣かせたくねえだけ」
と、腕の中のアリアを見下ろしながら言うギルの言葉にホッとするアリアの姿に、キロは敢えて煽るように
「あ~ちゃんはやっぱりギルといる時が一番くつろいだ感じだよね。
ミアもさ、今日手伝いに来たがってた取り巻き連中に『アリアさんとギルさんのお邪魔しちゃだめですよ?』とか言ってたしさ。
あちこちで公認って感じだよなっ」
と、ぴゅぅ~っと口笛を吹く。
それにピキピキとした空気が漂うが、アリア自身は自分に関してのそういう感情に疎いので、
「あ、そういうお話はそろそろやめましょう?
誰と仲良しでも、とりあえずイベントの間は一切の忖度なしで。
あまり一部がお友達同士という空気が強く流れすぎると、1人で参加して下さった方がきまずくなると思うので」
と、実にそのあたりわかっていないだけに淡々と話を勧めた。
それで表では互いに黙るセイジとキロ。
そんな中でギルベルトはその言葉について釈然としない気持ちで思う。
お姫さんにとって、自分は”仲良し”の1人なのだろうか…他の…セイジやキロ、ノアノアと同様の?
こんなことを考える事自体が馬鹿げている。
ただのネットの知人にすぎないのに……
そう考えつつも割り切れない思いを胸に、それでもその日のイベントは淡々とこなしているうちに過ぎて行った。
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とある白姫の誕生秘話始めから
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