とある白姫の誕生秘話──お姫様フレンド5

「彼は便利でお役立ちなんですけどねっ」

最初のきっかけはそんな言葉だったと思う。
ミアとおしゃべりをする日々が始まって、当たり前に共通の知人であるナイト、セイジについて話が及んだ時である。

確かミアは彼に粘着されて困っていると聞いたので、確認の意味を込めて聞いてみると、そんな言葉が返って来てアーサーは一瞬我が目を疑った。

パソコンの前で一回ぱちくりとまばたきをして、そしてディスプレイの会話ログを二度見する。

便利でお役立ち”って??
お姫様がそれを??

「便利でお役立ち??」
と聞き返すと、彼女は、ふふっと可愛らしく微笑む。

「とてもマメだし、スキルも高いでしょう?」
と、返って来て、アリアは頷く。

「いつでも呼び出されてくれるし」
まあ、わかる気はする。

「なんでも手伝ってくれるし?でもね…」
自分は簡単なヘルプはギルに頼んでしまうので彼にお願いした事はないのだが、そんな感じはする…でも?

「すっごく独占欲が強いの。
他の人と一緒に遊べないし…」

ああ~!なるほど!!
と、その理由には納得するが、“お姫様”のイメージはだいぶ変わる。

「ミアさん、えっと…」
「はい?」

「皆さんにそういうお話をされてるんですか?」
と、あまりに最初の印象と違うので訊ねてみると、彼女は

「いいえ?アリアさんにだけですよ?決まってるじゃないですかぁ~」
と、にこやかにのたまわる。

そうだよな、そりゃそうだ…と、アーサーも思う。
しかし、そうすると何故自分に?と言う疑問が降って沸く。

もちろん聡い彼女はそんな事も想定のうちだったようだ。
やはりにこにこと

「私ね、夢を売ってるんです♪
他の方には完璧なお姫様で居られるよう、絶対に隙はみせません。
みんなのアイドルでみんなの恋人でみんなのお姫様です。
でも…たまにはしたいじゃないですかっ。
恋バナとかぶっちゃけトークとか?
アリアさんはリアルは敢えて問いませんけど、そういう意味で女性に興味を持たれない感じですし、かといってライバル的な敵意も感じませんし。
だから…」

「だから?」
「ようはお友達が欲しいってことですねっ!」

うああぁぁ~~~!!!
と、テンションがあがる。

お姫様のお友達?数少ないお友達枠?!!

「私ね、その気になれば恋人がいる相手だって落とせる自信はあるんですよ。
でもお友達のお相手に手を出したりは絶対にしませんし、なんなら協力しちゃいますよ?
知りたい事があれば色々教えて差し上げられますし、お友達になって頂けませんか?」

「ぜひっ!!」
以外の言葉が思い浮かばない。

お姫様のその手を取った瞬間、このゲームの世界はオンラインRPGからオンライン恋愛シミュレーションの要素まで付け加わった。

そして彼女との出会いは、今後のアーサーの諸々を大きく変えていくのである。


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