──ありがとうございます!お誘いしますね~!!
と、レベル上げパーティに必須のタンクを無事勧誘。
『みなさん!レベル60のナイトさん入られますっ!!』
と、パーティ会話で報告すると、あがる歓声。
タンク不足の激戦区で無事タンクをゲット!!
誘われ待ちを投げ捨てたリーダーの面目躍如の瞬間である。
『アリアさんもすっかり立派なオートリーダーと化しましたねぇ…』
まるで幼かった子どもが立派な大人になった姿を語るかのようにしみじみと言うノアノア。
『お姫さん、集めるの早えよな。
人気ジョブは結構パーティ選んで誘われても無視する輩とか多いのに、ほぼ返事もらえるもんな。
誘い方が上手いんだよな。言うべき事を簡潔に、でも漏れなく伝えるから』
『ああ、それは確かに。
ただ──パーティどうですか?──的な誘い方する人もおおいですもんね』
『最低限の挨拶と、他のメンバーのジョブ、レベル、狩り場、終了時間を網羅して伝えてくれるリーダーだときちんとしてそうで安心するし、馬鹿じゃなさそうだからそこそこ稼げそうな予感するよな』
そんな頼もしかった先輩諸兄の言葉にアーサーは機嫌よく最後の1人にパーティの誘いを送った。
そうして今日もレベル上げに出発する。
固定パーティの先輩達と共に着々とあがるレベル、今日もゲームは楽しく平和に進んでいくのであった。
そんなここ最近ずっと一緒の固定パーティ発足の裏事情はというと……
──お姫さんはお姫さんであるがゆえに、ストーカーは常に現れ続ける
それがギルベルトの出した結論だった。
ではどうするか?となった時に思ったのは、もうお姫さんの側でストーカーがストーカー化しないように見張るしかない、ということである。
で、結局ゲーム内で一番多いのはレベル上げにかかる時間なので、そこを共有しようと、ノアノアを巻き込んで3人で固定パーティを組むことにした。
幸いにしてお姫さんは誘われにくいDPS(アタッカー)の自分達と違って誘われやすいヒーラーなのもありレベルはすっかり追いついていたので、日々3人固定+野良で3名探してレベルをあげることにする。
リーダーは最初はギルベルトがやっていたのだが、そこで、自分のための固定なのだから付き合ってくれているギルベルトに手間をかけるのは申し訳ない…と、自分がパーティを作るリーダーを引き受けると申し出るあたりが、お姫さんがそんじょそこらの甘ったれたお姫ちゃんと違うところだ。
どことなく可愛らしさがにじみ出ていて、その気になれば好きなだけ甘やかしてくれる相手などいくらでも見つかるのに、自分で出来る事は極力自分でする、他に迷惑をかけないようにしようとする気づかいがあるあたりが、ギルベルト的にはとても好感が持てる。
そんなお姫さんだから、返って甘やかしてやりたい、甘えて欲しいと思うくらいだ。
さすが俺様のお姫さん!!
そう思うギルベルトが虫よけの盾になる理由に、いつしか単なる保護という以外の物が混じり始めている事は、本人も気づいていない。
しかしそんな彼の心の変化に気づく者もちらほら…
──そう、一番彼の側にいるもう一人の固定メンバーとか?
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