とある白姫の誕生秘話──新たなる伝説の始まり2

──第二のケイトが現れやがった……

はぁ…と、大きく息を吐き出しながら、ギルベルトはくしゃりと頭を掻いた。
本当にがっくりと…肩を落としながら……

「は??何故またそんな事に?!!!」
目を丸くする本田。

このところギルド会話でも特定の相手の名前を聞く事もなく、アリア本人もギルドで楽しくイベントやクエストアイテム取りをする他は、せっせとレベル上げにいそしんでいたはずだ。

何故そうなった?!!
と、言外に問いただすような視線を送れば、ギルベルトはやけくそのように芋を皿の上ですりつぶしながら、何から話そうかと考えている。

そして、結局
──お姫さん、可愛いお姫さんすぎんだよ!
という一言から話を始めた。




ケイトについての心配がなくなってからは、お姫様は出会った頃のように生き生きとした様子で日々レベル上げに励んでいる。


──早くレベルをあげて皆さんのお役に立てるようになりたいんですっ

キラキラした目で言うお姫さんは絶好調に可愛い。
ゲームは所詮ゲームで、最低限の礼儀と良識から外れなければ、人格や容姿は関係ないという主義のギルベルトですら、思わず“可愛すぎだろっ!”と思ってしまうレベルで可愛い。

しかもそんな風に可愛いキャラにありがちな、やってもらって当たり前、やってもらえるのを待っているという感じが全くない。

レベル上げにおいても、ヒーラーとタンク(盾役)は絶対数が少なく、比較的パーティーにも誘われやすいので黙って誘われ待ちをしていても良いのだが、少しでも早くレベル上げに出発できるようにと、たいていは自分でパーティのリーダーになってメンバーを勧誘してレベル上げに出かける日々。

そのあたりの目標に向かっての前向きさはギルベルト的には好感が持てる。
その甲斐あってお姫さんのレベルはスクスクとあがって行く。

そんなある日の出来事だった。


──ギルさん、ギルさん、すっごい偶然があったんですよ~!!!

と、お姫さんからtellがあったのは、今日は釣りをするというお姫さんをギルドハウスで送りだし、ギルベルトは金策のためKotoriさんと弱い敵を狩り続けている最中のことである。

堤防で釣りにいそしんでいるお姫さんからtellをもらうのは珍しい事ではない。
ギルド会話でもよく話すが、メンバー全員のログに流れるギルド会話だと、レベル上げでシビアにログを追っている人がいると申し訳ないと、しばしばtellで話を振ってくるのだ。
そういうあたりの気遣いもとても細やかで、好感度が高いところである。

今回は自分も素材狩りだと言う事は伝えてあって、実際、ギルドのリストを見てもパーティー中ではなくソロだと言う事はわかるので、tellを送って来たのだろう。

──偶然?
と、返すと、

──そそ!すっごい偶然ですっ!!
と、テンション高く返って来た。

続いて…
──今釣りしてて、隣でやっぱり釣りしてる方に『釣れてますか?』って話かけられたんですけどっ
──おう?
──それをきっかけに話してるうちに、なんとその方とは以前パーティでご一緒した事あるってわかったんですっ!

…それ…本当に偶然か?
と、心の中で秘かに思う。

いや、疑ってばかりはいけないが、なんというか…その…可愛いので……

そんな事をもやもやと考えつつ、その日は終了。
しかし彼は数日後、お姫さんに相談されることになる…

──あの…ギルさん、少しお話聞いて頂いて良いですか?この前の方の事でちょっと…




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とある白姫の誕生秘話始めから



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