とある白姫の誕生秘話──プロポーズ1


ギルドに所属しているのは10人ほど。
リーダーのケイトは何かにつけて親切にしてくれる。

レベルが違うので普段は一緒にレベル上げなどはできないが、他のメンバーともギルド会話のログだけではあるが、毎日色々な会話が出来ていて、野良でレベル上げをしていても、1人ではない感じがして、ギルド入会前にもまして、ゲームが楽しい。


彼女いわく、ブラックメイジのノアノアが副リーダーで、彼はこのゲーム内のシステムにある結婚システムであるイルヴィスウェディングはしていないものの、実質ゲーム上の夫みたいなものだということだ。

『前にやってたネトゲでも相手はノアノアじゃないけど結婚はしてたんだよね~』
というケイトに、なるほど女性にとってはネット上でも結婚というシステムは楽しいものなんだろうなと思う。

このゲームではイルヴィスウェディングという公式の正式な結婚システムをすれば、ウェディングドレスを着て結婚式まで出来るので、実は可愛いもの大好きなアーサーもいつかはあげて見たいと思っていたりする。

まあ、それにはまず、相手を探さなければならないが……


ともあれ、色々クラスチェンジをできるゲームでも育てているのは全て前衛の攻撃職で男勝りな印象を受けるケイトだが、レベル上げに行かない日などに一緒に素材狩りや簡単なクエストをしながら話してみると、意外に乙女な性格だとわかった。

ハーブティや刺繍、バスソルトやティディベアの話など、リアルだと男なのであまり話せないが実はアーサーが大好きな趣味の話をしても、普通に楽しげに聞いてくれる。

ちょっと何かにつけて距離が近すぎる気がするのも、なんとなく仲良し同士で行動したがる女の子のソレを思わせた。

それまでが一人ぼっちだったのもあって、そんなケイトとのやりとりは楽しい。

一緒に何かをする場合、前衛なので守ってくれる。
でも彼女は戦闘系のクエストなど以外はあまりやらないので、アーサーはレベル上げの合間にあげ始めた合成で作った食べるとステータスがあがる料理だとか、低レベルのクラスを育てる時用の自作の装備とかをプレゼントをするなど、互いに互いが出来る事をし合う。

リアルであまり友人がいないアーサーとしては、そんな友人付き合いは確かにすごくうきうきとするものだったのだ。
それは長くは続かなかったのだが……




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