温泉旅行殺人事件_迷探偵のアリバイ崩し4

「おかえり、ルッツ」
ギルベルトはドアを閉めるとルートを中に促し、自分も和室に戻る。

朝食が備え付けられた部屋ではすでにアーサーが茶碗にご飯を盛って待っていた。

「ただいま。メール全部目を通してくれたか?」
ルートは席について、用意をしてくれていたアーサーに礼を言うと、朝食をがっつく。

「ああ、真面目にすごい情報だ」
昨日ルートからは雅之達と交わした会話を逐一メールでもらってる。

その中には例の雅之がコンプレックスを持っていた相手と雅之の昔の彼女が浮気して…みたいな話もあって、ギルベルトはもう感心するしかなかった。

「いや、俺は特別な事はしていない。向こうが勝手に語って来ただけだ」
ズズ~っとみそ椀をすすりながら言うルートに、ギルベルトは驚嘆のため息をつく。

ルート自身はそのすごさに全く気付いていないようだが、自分では絶対に教えてもらえない。
おそらく見るからに実直そうで口が堅そうなルートだからこそポロっと零してくれたのだろう。


「たぶんな、お前だから相手も話したんだ。たぶん相手が俺だったら絶対にそんな話してくれないぞ」

それを思わず口にすると、ルートは苦い笑いをもらす。

「兄さんはいつも俺を買い被りすぎだ。それよりそっちどうだ?なにかわかったのか?」
と、逆に聞き返して来るルート。

こんなに優れた能力があるのに自己評価の低い弟にギルベルトの方も内心苦笑しながら、自分の方の情報を逐一ルートに流した。



「ちょっと待ってくれ!そのペンダントって…」

話がフェリシアーノから得たペンダントの情報まで進んだ時、ルートが箸を止めた。

「たぶん…雅之さんもしてたぞ?普通に。
俺は単に結婚指輪かなんかで目立つ様にはめるのが恥ずかしいのかと思っていたのだが…」

「ほんとか?!」
微妙にひっかかる。

K to S…それが単純に" Kouji to Sumika "だと思い込んでいたが…違うのか?
「指輪の…裏側なんて見てないよな?」
ギルベルトが言うと、ルートは少し気まずそうに

「そこまでは…」
と、頭を掻いた。




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