「申し訳ありませんっ!!」
と、ガバっと頭を下げた後、菊は
と子供達に向かって叫ぶ。
べ~っと舌を出す子、
「や~。怖いよ~。怒った~」
と泣いてアーサーに抱きつく子供。
「この人…お館様?」
と、とててっと駆け寄って来て物珍しげにギルベルトの足にしがみついてくる子供。
反応は様々だ。
「これは…鉄線一族の子か?」
ギルベルトは笑って足にしがみつく子供を抱き上げて肩車をする。
「はい。遠出している者の子供を一時的にこちらに置いております。
何かの手違いでこんな事に…申し訳ありません」
頭を下げたまま菊は言うと、駆け寄って来た一族の若者に
「そなたらは何をやってたんですっ?!アーサー様に子守りなんて…!!」
と叱責を浴びせた。
怒られた若者は少し困ったような視線を子供部屋に向ける。
「申し訳ありません。
「そなたらは~…止めなさいっ!愚か者!!」
「ああ、いい、いい。子供好きだから一緒に遊びたかったんだろう、タマも」
その言葉に菊が
「いや~!!(泣」
「いっちゃだめ~!!(号泣」
と子供達が泣きながらアーサーにしがみついた。
「そなたららいい加減にしなさい!
今まで遊んで頂いただけですごい光栄な事なんですよ!!」
と、叱る菊に子供達は更に激しく泣き出す。
「ああ、いいから。子供達が寝るまでな。俺様もここにいる。
エリザ達は部屋で休ませてやってくれ」
「わ~い、お館様、大好き~♪」
「お館様、あそぼ~」
子供達はとたんに元気になって、ギルベルトの周りにもまとわりつき始める。
「お前らな~、もう寝る時間だ。ここにいてはやるから布団に入れ」
と、ギルベルトは肩車をしていた子供を下ろして他の子供と共に抱えると布団に放り込み、自分もその間に寝転がって布団をかけてやる。
恐らく一番小さい2歳くらいの子供はアーサーにしがみついたままうとうと始め、アーサーがその背中をポンポンと軽く叩いて寝かしつけ始めた。
「子供寝るまで子供の気が散るからお前も部屋出てろ」
とギルベルトが言うと、菊は
「申し訳ありません」
と恐縮しながら部屋を出て行った。
そして
──夫婦の図、夫婦の図ですねっ!!
と、相変わらずパシャパシャする遠子には
「お前も…居たいならせめて口閉じろ。ガキどもが寝れねえだろ。
うるさくすんなら強制退去だぞ」
と、声をかける。
とたんにピタッと静かになる遠子。
それを確認すると、ギルベルトはアーサーに視線を向けた。
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