青い大地の果てにあるものGA_13_22_一族6

「…抹殺…」
3人全員が固まるのも気にせず、一位は菊に笑顔をむけた。

「おお、さすが鉄線の者。もう守備よく?」

「はい。お館様を一族から遠ざける要因だから排除せよとおっしゃる一位殿のご命令は確かに」

一位に笑いを含んだ声で答える菊。

「で、これがその証拠のジュエル」
と、菊はどうやらジュエルを握っているらしい手を掲げ、その手から零れ出ている鎖がしゃらしゃらと音をたてる。

「これはジャスティスが生きてる限りその身から離れないらしいですよ?」

「うそ…だ」
思わず口からこぼれ出た。

が、確かにそれからは自分達が普段身につけているのと同じ力を発しているのを感じる。


ギルベルトは体中の血が凍り付くのを感じた。
何かが自分の中で崩れ落ちて行く。

「あ、私は命令に従っただけなので、苦情は一位様にお願いいたします。」
菊は言ってまた一位の横にかしこまった。


「…が…を…たよ」
「はい?」

その場にカクンと膝をついてうつむくギルベルトの言葉を聞き取りかねて、一位が膝を折る。

俺様が何をしたんだよっ?!!!
ギルベルトが叫んだ。

頭がガンガンして吐き気がする。

「…なんで…だよっ!!
生まれてからずっと自分のために何かした事なんかなかったじゃねえかっ!
一日24時間ずっと一族のためだけに自分を殺して生きてきただろっ!!
俺様が自分のために何か望んじゃいけなかったのかよっ!
一つくらい自分のために何か望むのがそんなに悪かったのかっ!!!
それが悪いってんならなんで俺様を殺さないでタマを殺すんだ?!
俺様を殺せばいいじゃねえかっ!

自分が自分の幸せを望んだせいで恋人は殺されたのか…悔恨と自責の念が胸を締め付けた。

自分がアーサーを望まなければ…いや、自分さえいなければ…。


床をこぶしで叩くギルベルトの手をそっと取って一位が胸元に持って行く。

「一族の者全員お館様をお慕いしております。
お館様は一族全員の心の拠り所でございますから」

「やめろっ!」
ギルベルトはその手を振り払った。

「そんなのわかってるっ!
わかってるから今までやってきたじゃねえかっ!!
でも俺様だって人間だっ!俺の気持ちはどうなるんだよっ!!
そんなに感情持っちゃいけねえなら、いっそ殺せよっ!
殺して剥製にでもして飾っとけっ!!
そしたら一生逃げねえぞっ!!!」

言って絶句したままうなだれた。衝撃が強すぎて涙すら出ない。


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