青い大地の果てにあるものGA_13_21

一族5



とりあえずそこは安心したところで、ギルベルトは改めて一位と対峙する。

「一位、お前レッドムーンてどういう組織か知ってんのか?」

ギルベルトの問いに一位はにっこりとうなづいた。

「お館様を連れ去った憎きブルーアースの仇敵ですわ。
例えそれが悪魔の組織であろうともお館様を取り戻すためなら一位は手を組む事をいといません。
そのために自ら望んでイヴィルなる化け物になった者もおりますし」

「…ガチ…?…正気の沙汰じゃないわ…」

青くなって思わずもらすエリザ。

「俺は戻る気はねえし、一族をレッドムーンに関わらせるのもやめろ。」

「嫌でございます。
ブルーアースが存在する限りお館様がそこに固執されるのですから。
例え悪魔と手を結ぼうとも一位はブルーアースをつぶしてご覧にいれますわ」

「…俺と敵対しても…か?」

剣に手をかけるギルベルトに一位はやはり笑みを絶やさず

「一族をお見捨てになる事ができますか?お館様に」
と言う。


「恐れながらお館様…」
そこで一位の横でかしこまっていた河骨紫苑がギルベルトをみあげた。

「お館様がお戻りになって一言"レッドムーンと手を切るぞ"とご命令なされば一族皆、それに従いましょう」

「河骨!出過ぎた事を申すでない!一位はそのような事許しませんよっ!」
そこで一位の顔から笑みが消えて、厳しい表情になった。

「出過ぎた真似と申されるなら一位殿の方でしょう?
我らはお館様の臣下であって一位殿はその奥方様にすぎません!」

「妻だからこそお館様の心を乱すものは全て排除すると申しておるのです!
お館様の心を一族から遠ざけるものを全て排除するのが妻たる一位のつとめです!」
河骨の言葉に一位はこぶしを握りしめて叫んだ。

その言葉にふと嫌な想像がよぎってギルベルトが顔色を変える。


「おい、一位、一つきくが…」

「あ、はい、お館様なんでございましょう?」
一位は即顔を上げ、笑顔を浮かべた。

「…タマを拉致ったのお前か?」

不安と恐怖で声がかすれる。

「…タマ?ブルーアースの小童でございますか?それなら…」

という一位の肯定の言葉にギルベルトは目眩を覚えた。
そして直後、その言葉をさえぎるように

「そのジャスティスの少年でしたら私が…」
と奥から声がふってきた。


「桜ちゃん!」
エリザが驚きの声をあげた。

にっこりと奥から桜にそっくりな人影が姿を現す。
菊だ。

「一位様のご命令で抹殺させて頂いたところですが?」
と、ゆったりと一位の左に控える河骨と対象になるよう一位の右側に控える。


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