青い大地の果てにあるものGA_13_19

一族3


こうして、本来なら補充のフリーダムを待って突入予定だった基地に、即突入を決行する事になり、一行はギルベルト運転の車両で伊豆から一気に北上して富士の麓、樹海へと入る。

「一族絡んでるなら車で固まっての移動は危険だ。この辺から歩くぞ。
今日は遠隔系がいないからな。
代わりに俺が双眼鏡で前方を伺うから、エリザ、お前は翼をガードしながら周り警戒しろ」
「らじゃ」

そんなやりとりをしつつギルベルトは先に車を飛び降り、あとの2人もそれに続いた。

「前方2kmに城風の建物、こいつだな」

しばらく歩いた後、足を止めてギルベルトが言う。

「んじゃ、このあたりの木、一気になぎはらうからどいてろ。移動の邪魔だ」

「了解」

ギルベルトは言ってジュエルの能力を解除して剣にする。

そして木々を薙ぎ払いながら一気に駆け抜けた。
すると残ったエリザ達の前から建物までまっすぐ木が崩れ落ち、道ができる。


「まず俺が先頭で突っ込む。
エリザは後ろの翼を気にしつつ、タマが居ないと確認した時点で誰がいようと全力で薙ぎ払え。
一族…特に河骨は宗家の護衛の一族だから、立つより早く武器握らされてるからな。
女子どもだからと手を抜いたらお前は大丈夫でも後ろの翼が殺られるぞ。
翼はエリザの真後ろだけが安全圏だと思え。
例え後ろでもエリザの大剣の届く範囲を出たら死ぬからな」

「お~けぃ。思い切り大暴れは久々ね」

エリザはペロリと舌で唇を舐めるとジュエルから武器化した大剣をブン!!と振り回してにやりと微笑む。

そしてその後ろでは
「ラジャ~、了解でありますっ!」
と、翼がきりりと敬礼した。


その2人の反応を確認後、ギルベルトは前方をキッと睨む。

そして、

「行くぞ!」
というギルベルトの声に全員うなづくと、前方の城に向かってかけだした。




こうして3人が城の前までつき、ギルベルトが閉ざされた門を叩き斬ろうとした時、いきなり

「開門~」
のかけ声とともに門がギギ~っと開かれた。

全く攻撃は来ない。
それでも用心して進む奥へと続く道の両側にはギルベルトにとってはよく見知った顔が並んでいる。


「どうする?ギル」
とエリザが聞いてくるが、ギルベルトは黙ってさっさと先に立って奥に進む。
愚問だ。アーサーが取り戻せてない以上、引き返したり立ち止まったりするという選択肢はない…と、思う。

そうして進む道々、
「おかえりなさいませ、お館様」
と、ギルベルトが進む道々の両側に立つ一族の者が言って頭を深々とさげた。


「ど、どういうことなんですか?話と違いません?」

と、敵の基地に攻め入って来たという今の状況からすると異様な展開に、左右をきょろきょろ見回しながら言う翼。

それには
「さあ?でもとりあえず進むしかないだろ。
でも油断するなよ、防御態勢はとっておけ」
と、それにはそう答えて、ギルベルトは奥に視線を向けたまま歩き続けた。




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