「毒気を抜かれるってこういう事言うのかね…」
と、フランスがやれやれと首を振りつつ
「ありえないんだぞっ!あんなのプロイセンじゃないっ!!」
と、アメリカがぽこぽこ怒りながら、
そして日本が
「こういうのを我が国では『ひとの恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んじまえ』と言うんですよ…」
と、ためいきまじりに、それぞれ言いつつ宿泊先のホテルに帰る早朝。
「イギリスがプロイセンとなんて信じられないんだぞっ!」
というアメリカの一声から始まった。
「だって彼ら今までそんなに親しい様子はなかったじゃないかっ!」
「うん…まあねぇ…お兄さんも一瞬フェイクかなって疑ってみたんだけど……」
「だよねっ!そうだよ、きっと!!」
「いや、みたんだけどね、プーちゃんに限って……」
「絶対に嘘だよっ!
そんな不正はヒーローとして見逃せないんだぞっ!
さっそく別れさせに行くんだぞっ!」
「アメリカっ!お兄さんの話、最後まで聞こうよっ!!」
「アメリカさんっ!あなた、何言ってるんですかっ!!!」
「なんだいっ?聞いたから別れさせてくるって言ってるんだぞっ」
「だ~か~ら~!!!これは飽くまで一瞬そう思ってたってだけって言ってるでしょっ!
プーちゃんに限ってこういう事で嘘はつかないと思うよっ?!
ね、日本?」
「ええ、夕食会の様子を見ても、本当に仲睦まじげで…」
いきなり話がおかしな方向に行くので慌ててそう修正をかけるフランスと、それを後押しする日本だが、アメリカはせっかく見えた一縷の希望を諦めきれない様子だ。
「わかんないんだぞっ。
もしかしたら演技でそう見せてる可能性だってあるじゃないかっ」
「ないよっ。
てか、もしこれが偽装だったとしたらね、お前それだけ絶対に何があっても結婚したくないって思われてるって事だからね?自覚しなさいよ?」
もうやだ、この子…と、首を横に振るフランスに苦笑する日本。
しかし大人達のそんな態度にもお子様はめげることはなかった。
「それだって絶対とは言い切れないんだぞっ。心をこめて口説き続ければいつかは気持ちが変わるかもしれないじゃないかっ!」
と、フランスを振り返る。
「とにかく、こうなったら偽装かどうか確かめないとスッキリしないし、こんなスッキリしない状態だと、間違ってパリに向けてミサイル発射ボタン押しちゃうかもしれないんだぞっ」
と、恐ろしい発言をし始めるアメリカに、フランスは頭を抱えた。
「あのね~じゃあどうすれば気が済むのかなぁ、この坊やはっ。確認しようがないでしょ?」
「そこをなんとかするのが君の役目なんだぞっ!」
「いや、だから何をもって偽装と判断すんのよっ。
もし偽装だとしたら、問い詰めたところで2人とも絶対に認めないよ?」
「それもそうだね…」
少し考え込むアメリカに、ようやく諦めてくれたかとホッとしたフランスだが、次の瞬間、アメリカが実にいい笑顔で言った言葉で、それが大いなる間違いだったという事を悟った。
いわく…
「ねえフランス。君イギリスん家の合鍵持ってるよね?
それ使って夜中にこっそり入ってみればいいよっ。」
「はいぃ??」
「きっと寝室別だろうからさっ。何もしてなければすなわち偽装って事でっ!」
「ちょ、待ったぁぁ!!!それ犯罪だからっ!!!」
「大丈夫っ!鍵勝手に使うのは君だから無問題さっ☆」
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