後ろにひっくり返って、そのまま畳の床に寝ころぶと、見慣れたクリーム色の天井を眺めつつ、ギルベルトはくしゃりと自分の銀色の前髪をつかむ。
「あ~、やっぱあれか。
天才女優の一人息子って事か~」
「うん…あれは記者会見じゃなくて、アントーニョの舞台だったんだねぇ」
と、フランシスも並んで寝ころぶと、お兄さんすっかり騙されました、と、苦笑した。
「普段あんな調子だから、よもやあいつが計算した腹芸なんかしやがるとは誰も思わねえしな…。
これを俺様とかがやったら、何か裏を疑われたりするんだろうけど…」
「だよねぇ…」
ここで二人はアントーニョは言わなかったが、アントーニョが一人での会見にこだわった理由もようやく察した。
普段のキャラ、人気、信頼に加えて、完璧な演技力。
全てがあって初めて完成する記者会見と言う名の大舞台。
それを見事に演じ切って幕を閉じた悪友に、二人は心の中で拍手喝采を送ったのだった。
0 件のコメント :
コメントを投稿