――まずは仲良く遅れてきたところをお願いします。
と、スタッフに笑って言われて、大丈夫なのか?とアントーニョを見上げるが、アントーニョも笑っているところをみると、大丈夫なのだろう。
と、ヘラリと笑うアントーニョに、スタッフが苦笑しながらも、これがトーニョだよな、と、言うあたりも人徳なのだろう。
「じゃ、とりあえずインタビュー前に座ってる写真撮りましょか~。
二人並んで座った方がええんかな?」
と、示された二人がけのソファにやっぱりアントーニョに手を引かれて連れて行かれ…先に腰をかけるアントーニョの隣に座ろうとすると、いきなり
「天使ちゃんの席はここやで~」
と、手を引っ張られて腰を降ろさせられたのは、アントーニョの膝の上。
え?ええ??
と、慌てて降りようにも後ろからアントーニョの逞しい腕でしっかりホールドされている。
ここは普通は笑うところなのだろうと思うのだが、何故か哀れみの視線を送ってくる悪友の残り二人。
「ちょ、トーニョ??」
と、慌てて後ろをむいたところで、アントーニョが後ろから覆いかぶさるように顎をアーサーの肩口に乗せ、
「ええよ~」
と言う声に今度は前を振り向きかけたタイミングで聞こえるシャッター音。
「次は隣な~」
と、驚きから立ち直る間も与えず、ストンと隣に降ろされたかと思うと、今度はしっかり片手で抱き寄せられる。
え?え?と思っている間にパシャパシャ撮られて呆然としているうちに、
「ほな、写真はとりあえずはこんなもんでええ?インタビュー始めよか~」
と、当たり前に進めるアントーニョ。
その正面に座る悪友達の
「トーニョの人をペースに巻き込む上手さは異常だよな…」
のため息に納得する。
スタッフも皆笑っているところを見ると、普段からこんな感じなのだろう。
アーサーのびっくり眼もそのままに、
「じゃあそういうことで、アイドル雑誌【WorldA】のベル言います~。
天使ちゃんとは初めてやけど、悪友はよく取材させてもろうてるんで、気楽におねがいしますね~」
と、肩口にかかるくらいのふんわりした髪にアヒル口が印象的な可愛らしい女性の仕切りでインタビューが始まった。
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