ヒロイン絶賛売出し中12


そして入るスタジオ内。

今日の午前中は雑誌のための撮影とインタビューだったらしい。



「トーニョ、やっと来たっ!フランがトークで持たせておいてくれてるから急いでっ!!」

とマネージャーが走ってくる。



「あ~でも原因はフランにあるねんで?」

不満そうに口をとがらせるアントーニョにマネージャーは慣れた様子で

「あ~、はいはい。それはあとでね。
とりあえず急いで。天使ちゃんも一緒でいいから」

と言うと、

「え?一緒でええん?撮影も?」

と途端に機嫌を直すアントーニョ。

「うんうん。社長から許可出てるから。
ただしインタビューは気をつけてね。
フランとギルにもフォローは頼んであるけど、NGな発言出そうだったらトーニョもフォローしてね」

「おん、任せときっ!
二人に頼む事なんてないわっ」

「はいはい。頼んだよ。急いでっ!」

急に乗り気になって足早になるアントーニョにしっかりと手を掴まれたまま、アーサーも釣られて駆け足になる。



「お~、きたきた」

と、入って行くとすっかり寛いだ感じのフランシスとギルベルト。



「トーニョも天使ちゃんもすぐ支度っ!!」

と、スタッフに引っ張られてパウダールームに行く暇も惜しいとばかりに、隣の部屋に押し込まれた。



伸びてくる手にびっくりしていると、

「先に撮影やからな。ちょお写りがええように、色調整すんねん」

と、アントーニョが笑って言う。



こうして色々整えてもらったあと、とりあえず、と、立たされたのはドアのところで、さきほどを再現するようにアントーニョに手を引かれているところをカメラにおさめられた。



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