「ということで、親分と天使ちゃんが仲良く駆け込んできたところで、人気アイドルユニット【悪友】あらため、新ユニット【悪友と天使】4人が無事揃いましたね」
とのベルの言葉にアントーニョは最終的に自分の足の間に座らせて後ろから抱え込むようにしているアーサーをさらに強く抱え込んで、ちらりとギルベルトに視線を向けた。
「俺らだって、ここ来た時に初めて知ったんだ。遅れてきたてめえが悪いんだからな」
と、自分達が決めたわけじゃないというのを先に主張した上で説明をする。
「事務所の方針…っつ~か、もうお前の方針を事務所が通したって感じだな。
天使ちゃんを常に一緒に行動させるならユニットに取り込むしかねえってことで、【悪友】に加えて【悪友と天使】になったってわけだ。
もうネーミングについては、天使ちゃんと一緒じゃねえと仕事しねえっていうお前に合わせて即刻一緒にって急いだんで、センスうんぬんに関しては勘弁してやれ」
と、そこでアントーニョに対する説明をとりあえず終えて、ギルベルトはベルに視線を向け、アントーニョを親指で指し、
「なにしろこいつ、昨日の【悪友キッチン】の収録中に、自分が面倒見てるこの天使ちゃんを一人で置いておくのも外に出すのも心配で心配で心配で仕事なんか手につかないって言いやがったんだぜ?」
と、呆れたように息を吐き出した。
「ほんま気に入りはったんやねぇ。
まあ面倒見るって思ってもうたら、べったりなんも親分らしいけど…。」
「確かにな。
ドラマ演るたび感情移入しすぎて相手役の女優とベッタリしすぎてスキャンダルになっちまうからな、トーニョは。
まあ今回のドラマはさっきも話したように相手役はこの天使ちゃんだから、ファンをヤキモキさせる事もねえだろ」
と、そこでさりげなく今までのスキャンダルに対してのフォローを入れるあたりがめちゃくちゃに見えて実は悪友一の良識人のギルベルトらしい。
「そうそう。
ここだけの話、坊っちゃんのことは、ドラマのたびにそういうスキャンダルの噂たつのに疲れきったトーニョのマネージャーが鬱になる前にトーニョのちょっと過剰な愛情の受け入れ先をってことで事務所の方が異例の早さでことを進めたって噂だしね☆」
と、それに冗談めいた肉付けをするのはフランシスだ。
「確かにっ!
マネージャーさん、親分のドラマ出演決まるたび疲れた顔してはりましたなぁ。
それについて、親分は何か言いたい事は?」
と、ケラケラと笑いながらも、そこは仕事。
さりげなくアントーニョに話をふるベルに、アントーニョはワタワタと抜け出ようとするアーサーをしっかり抱き込みながら、
「ん~、今までの共演者は飽くまでドラマの共演者やろ?
ドラマのイメージ崩さんためにある程度一緒におったのとは、この子はちゃうわ~。
この子は親分のために芸能界入って親分が面倒みて親分が育てる子ぉやで?」
と、もう嬉しそうに満面の笑みで言う。
それに顔を引きつらせる悪友二人。
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