そのうち約一名は引っ張りこんでゴメン、まじゴメンネ…という謝罪の目をアーサーに向けたりもしているが、あこがれのアイドルに後ろから抱きしめられるなどというキャパの限界などとっくの昔に宇宙の果てくらいまで飛び越えてしまうような現実にワタワタと動揺中のアーサーは当然気づかない。
「トーニョぉ…この体制は…」
と、そこで自力脱出を諦めて振り向くアーサーに、アントーニョはため息をついて首を横にふる。
「どこがだよっ。ここスタッフとカメラマンとお前らしかいないだろっ」
と珍しく言い返すアーサーにアントーニョはきっぱりはっきりモノ申す。
「だからやろっ。
フランの変態にちょっかいかけられたりギルちゃんの普憫伝染ったらあかんやんっ。
そもそもが【悪友と天使】やなくて【親分と天使】言うユニット作るべきやん?
なんでそこにフランとギルちゃんおるん?
この子は親分のやでっ」
「「お前ねぇ(なぁ)……」」
二人声を揃えてがっくりと肩を落とした。
「ほんと…ひな抱え込んでる親鳥かよっ」
「せやったらええやん、ギルちゃん小鳥飼っとるし、それ可愛がっときっ。
親分の天使ちゃんは親分のやでっ!」
「え~?じゃあお兄さんはぁ~?」
「フランは自分大好きの変態やから、もうそれでええやん」
「ええ~!ひどいっ!みんなお兄さんに対する愛が足りないよっ」
「ま、まあ、ほら、フランシスさんはファンの皆さんから愛集めはったらええんちゃいますかっ」
「ああ、うん。そうだったっ。
お兄さんにはファンの皆がいるもんねっ。
皆お兄さんを愛してね。
お兄さんもファンの皆愛してるからねぇ~♪」
とそこですかさずカメラに向かって投げキスをするフランシスを取るカメラマン。
プロである。
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